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なんで、MATCHAに出資してくれたんですか? - NEWS代表 梅田哲矢さん

梅田さんと最初にお会いしたのは、宮城県の南三陸でした。しおたんさん @ciotan主催のBuzzcampに参加した時に、梅田さんが講師で登壇していました。こんな面白い人がいるんだな、という感想を持ちつつ、食後に温泉に入ると目の前に梅田さんがいました。

「梅田さん、さっきはとても面白かったです。」と挨拶すると「青木さんですよね。昔NHKの番組か何かで見ましたよ。はじめまして。」と返してくれました。そこから話が広がり、会社のビジョン、ミッションの改定のときなどに相談に載ってもらい、結果、株主になってもらいました。

今回は株主インタビューだけでなく、梅田さんの7年後の話、アイディアの出し方などを聞かせてもらいました。


アイディアを通じて、世の中の課題を解決する

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ー 梅田さん、簡単に自己紹介をお願いします!

クリエイティブディレクター(CD)という仕事をしています。CDという肩書は、もともとは広告業界の役職名で、僕はアイデアやデザインの力を駆使して斜め上の方法で課題解決を図る仕事と定義しています。

例えば、コロナによる外出自粛で花が売れない、枯れてしまうという課題があったとします。通常考えうる解決策は、ECサイトやSNSアカウントの見直しといった改善策が中心になりますが、僕たちが出した解決策は帰省ができない問題と組み合わせて「#花で帰省しよう」と呼びかける斜め上の解決策でした。もちろん、改善策は必要ですが、改善策では大きなブレークスルーを得ることはできません。

SNSがインフラ化し情報が溢れる時代になり、斜め上の解決策はあらゆる分野で求められるようになってきました。時代に要請に合わせる形で、広告宣伝活動領域のみならずにCDスキルを提供するNEWSという会社を立ち上げ、製品開発や投資を行なっています。製品のコンセプト段階で入れば、広告なんて打つ必要のない強い製品ができる可能性が上がるわけです。事業側に立つことで、広告費をなるべくかけたくない気持ちがやっと分かってきました(笑)


過去の自分を振り返って、恥ずかしくなるような7年目に

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ー 実はこの株主インタビューの企画も、梅田さんにアドバイスをもらったことでかなり良くなりました。ここだけの話、星野さんに対する質問の半分は梅田さんにもらったものです。今創業して1年とのことですが、梅田さんが独立して7年目のとき、どんな経営者になっていたいですか?

2つあって。ビジネスモデルの話をしてもしかたないので、感覚的な話をすると。

7年後でいうと40歳ですね。40歳の自分が、今の自分を恥ずかしいと思えるかどうか。普通に生きていると、すぐおっさんになってしまう。おっさんとは、変われない人です。例えば、tiktokをどう受け取るかというか。わからないといったら、それはおっさんなんです。

人は2回しか変化しない。子供から大人に、大人からおじいちゃんに。ずっと若い先輩っているじゃないですか。そういった人は何回も変わっている。新しいことを受け入れる前の自分と、受け入れる自分の変化を楽しんでいる。一貫性を持つのは実は簡単で、変化を意識するほうが人生は面白くなる。

2つ目は、助言者と当事者の顔を両方持っている人でありたい。今の時代、SNSが生まれたことで、手が上げたら仲間が集まるし、お金も集まり、事業も始まります。何かをスタートするハードルが下がってきている。ここ10年ほどアドバイザーという助言者になっているけれど、これからの10年は自分自身が当事者になっていくようになりたい。それこそ助言者と当事者両方を行き来しやすくなっている時代なんですよ。

せっかくであれば、一個ぐらい当事者として事業を作り上げることをやりたい。それが2030年のクリエイティブ・ディレクター像です。

例えばなんだろうな、広告のいらない商品をつくるとかですね。作り上げたものを広告で認知を広げるのではなく、そもそもの商品の企画からそのエッセンスを取り入れるリリースした瞬間に、勝手に話題になり、世界に広がるような。それは商品という単位かもしれないし、事業かもしれないし、会社かもしれない。


古い習慣にも、続くだけの理由はある

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ー 梅田さんが旅をする時、何を意識しながら旅をしますか?印象に残ったエピソードがあれば!

たまたま、ラマダン(断食月)の時期にエジプトへ行く機会がありました。日本に住んでいると、キリスト教も遠いけれど、イスラム教は遠くより感じる。自分の常識では理解ができない習慣が多い。エジプトではラマダンということもあり、日中はご飯が食べれない日々が続きましたが、日が沈むと毎日がお祭り騒ぎなんですね。まちなかにテーブルが広がって、みんなでいただきますをやるんです。

そのグルーブ感たるやすごい。そこで、初めて分かるわけです。ラマダンは断食という共有体験を通じて強力な一体感を生む効果がある素晴らしい習慣なんだなと。

様々な民族で構成された国が多いイスラム圏では、同じ国民であったとしても、一人ひとり気質は違うし、感覚も大きく異なります。このラマダンという文化によって、強力な共有体験があることで一致団結する。この1ヶ月によって残り11ヶ月がかわるんですね。


新しい常識は、古い常識を理解しないとつくれない

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今これだけ情報が溢れている中、旅をしないと見えてこない国や情報の解像度が見えてきます。旅先で出会う文化やものは、意味のあるルールや伝統で成り立っています。過去の歴史を経て、いろんな経緯があって、そうなった合理的な理由があるんです。その歴史を紐解くと、見えてくるものが沢山あって、それに気づけたのが自分の原体験です。積み上がったものに対して、頭ごなしで否定しない。経緯に敬意を表することが大切です。


MATCHAがいいなと思ったのは、青木さんは社長っぽくないこと

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ー ありがとうございます。梅田さんは広告の人だけれど、投資も学生時代からしている印象がある。どこか普通の人が持っていない深さというか、広さというか。そんな梅田さんがなんで、MATCHAに出資してくれたか改めて聞きたいです。

投資のいいところは、普通の1人では一回しか生きれない人生を、投資をすることで多くの人の人生を共有しあえることです。自分だけでなく、お金が働いてくれる。お金を出すことで身を削られている感じもするが、その分一回の人生で10人分楽しめるような感じがするんです。

MATCHAからの仕事を月いくらかで受けているのかより、より中の人ととして捉えることができることで、インバウンドは今こうなっているよなと当事者として考えることができるのは面白いです。一回の人生でたくさん楽しみたい、それが投資に関する自分の前提であります。

MATCHAがいいなと思ったのは、青木さんは社長っぽくないこと。今の時代はいろんな人が別の方向を向いている中、無理やり力で引っ張っていることが多いですよね。今の時代は、そっちじゃない気がする。引っ張るというのは乱暴で、画一的でものさしが一つの感じがする。一つの方向で引っ張るような時代はもう終わっていいるんですよ。コロナ対策を政府が一律にやろうとして、うまくいっていないですよね。一方向的なリーダーシッ
プの限界が現れていると思います。

インバウンド事業は、世界各国に向けたことなので価値観が多様であるべき。ひっぱるというよりかは、混ざると言うか。受け入れると言うか。リスペクトを権限を渡していく。タイ人であれば、タイ人の人を受け入れる。何かしらの評価基準を作っていく必要がある。

事業の性質と青木さんの性質があっている感じがしたんですね。地で言っている感じというか。きっとそれで苦労することは沢山あるけれど、まぁ部分的にやりながら、無視しながらやっていくのがいいんじゃないか。

日本も外国の雇用も増えているし、not leadershipのリーダーをしていく。

ー そういう性質の自分が、意識すべきポイントってなんでしょう?

そのためには、青木スタイルをもっと言語化したほうがいい。期待させている部分と期待させない部分を明確化する。自分はこういうスタイルです、と明言することで、他の人も仕事をしやすくなると思いますね。

隈研吾さんの建築は、地味と評されることもありました。しかし、彼は自らの建築をこう言い換えました。「負ける建築」だと。環境に勝たせていると、定義したんですね。言語化することで新しい価値基準を作り出したわけです。


日本の第一印象をつくる会社

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ー 自分のスタイルの言語化はしきれていないな、と反省しました。いい気づきをありがとうございます。MATCHAに期待していること、まだこれやれてないことなどがあればお聞きしたいです。

今、コロナの影響もあって、足踏み状態ですよね。こういった状況だからこそ、未来に向けて準備をしてもらいたいです。1年後、2年後にワクチンや治療薬が回復されていく。そうなると国間の流れも急速に戻るでしょう。そういった時に、何も準備ができていないと言う状態になってほしくない。

MATCHAは、日本の第一印象をつくる会社だと思うんです。日本に来る人にとっての最初の入り口なので。ただ翻訳するだけではなく、国ごとに対して最適に日本を見せていく会社。その面と深さにはまだまだ伸びしろがあると思っています。

例えば、MATCHAにしか載っていないようなディープな情報があってもいい。なんだろうな、歌舞伎町に20年いる人がおすすめするディープな歌舞伎町巡りみたいなコンテンツがあったら見たいですよね。別にゴールデン街でもいい。人の興味の極端と、日本の極端をつないでいく役割も担えるでしょう。広さと深さがあるのが、ギャップになるんじゃないですかね。


目の前の事象を抽象化し、法則を見つける

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ー 最後の質問です。梅田さんなりの情報の見方、整理の仕方、組み合わせ方を教えてもらいたいです。

僕はアイディアを考えるのが好きですし、それが仕事でもあります。そのアイディアというのは大体世の中に出尽くしているんですよね。その中でどう今までにないアイディアを生み出すか。そのためには、出会う量と見抜く力の2つが大事になってきます。どれだけいい情報に触れていても、キャッチする網がないと抜けていってしまう。

例えば、チーズケーキが流行っているとしましょう。それをただ流行っていると捉えるのではなく、なぜだろう?こういう理由なんじゃないか?と自分なりに仮説を持って、法則を抽象化してみる。そうすると、他の物事にも応用ができることは沢山あります。

ほとんどの人は、事象を事象としか見ていなく、一歩踏み込んで考えられていないんです。旅に行くことも、自分なりの常識を壊し、触れたことがない情報に触れる上でとてもいいですよね。エジプトで出会ったラマダンのような、一見日本人からするとわからないようなことでも、一歩踏み込んで考えて、抽象化し、合理性を理解すること。その積み重ねから新しいアイディアが生まれてきます。

青木さんは世の中で起きていることを全部抽象化して、旅行やインバウンドに置き換えたらどうだろう?と考えたらいいと思いますよ。


最後に

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梅田さんは株主の中で最も年が近い株主です。「青木さんは、社長っぽくないですよね。」というのは、会った2回目ぐらいから言われました。最初言われたときは「?」だったのですが、段々その言葉の意味がわかってきた気がします。

自分なりのスタイルをどう解釈して周りに伝えるか?は、まだ明確な答えはでていません。ただ、そういったスタイルのようなものも梅田さんと対話を続けていく中で見えていくんでしょう。梅田さん、改めて素敵な時間、言葉をありがとうございました!


MATCHAでCFOの募集をスタートしました


今までの株主インタビュー

株主インタビューは、今回で6記事目になりました。ちなみに本インタビューの写真は、2018年4月に行ったMATCHA株主合宿で撮影したものです。はにかんだ写真になってしまいました。次回もどなたかにお願いしたいと思います。

photo by @yansukim

最後まで記事を読んでいだきありがとうございます。毎日更新をしているので、よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。