なんで、MATCHAに出資してくれたんですか? - バリュークリエイト代表 佐藤明さん
株主インタビュー9人目は、株式会社バリュークリエイト代表の佐藤さん。佐藤さんにお会いしたのは、たしか4年前。武田双雲さんと同じく、レオス・キャピタルワークスの藤野さんのご紹介でした。
その後縁があり、3年前に株主になっていただきました。そこから、三菱商事で副社長をされていた田邊さんをご紹介頂いたり、最近だと味の素サステナビリティ諮問委員会に推薦頂いたのも佐藤さんでした。軽やかながらも、会社にとって重要なボールをくれる方。
佐藤さんは好奇心がとにかく強い人です。今回の株主インタビューでは、会いたい人に会う秘訣とは、そもそも投資とは何なのか、今後の佐藤さんのビジョンについてお聞きしました。
社長がいないフラットな会社
ー 佐藤さん、今日はとても楽しみにしていました。今回はこのインタビューのために山中湖にきました。天気も晴れていて、気持ちがいいです。簡単にまず自己紹介をお願いします。
佐藤です。バリュークリエイトという会社を2001年に創業して、今20年くらい経ちますかね。僕たちの会社は価値創造をやる会社。見えない資産を活かして、価値を創造していくというようなことをやっています。
僕たちの会社は社長のいない、フラットな会社を目指しています。創業者とチームのメンバーとでやっています。
今はいくつかの企業の経営者のアドバイスや上場企業2社の調査部長をしています。コーポレート・ベンチャー・キャピタルといって、事業会社のベンチャーキャピタルも伴走しています。
ー 社長がいないってどういうことですか?
代表取締役はいるが、社長はいない。目指しているところはフルフラットの会社です。
創業当時、会社の固定電話に営業電話がかかってきたときに、「社長いますか?」と聞かれて、「社長いません」って答えていました。何回かかってきても「社長いません」って答えてましたね。
僕が今までいた会社は縦の関係が強い会社でした。一方で、バリュークリエイトの共同創業者である三冨はフラットに近い会社にいたので、僕たちみたいなナレッジベースの会社はそっちのほうが合っているなと感じました。
会いたい人に会いたいと伝える
ー 佐藤さんは色んな方と対話することを大事にしている姿勢が伝わってきます。佐藤さんと初めて会った2週間後くらいにMATCHAのオフィスに来てくれました。人と対話する上で、人と向き合う上で大事にしていることはなんですか?
一つは、会いたい人に会うこと。それから、会えそうでなくても、会いたい人には会いたいと伝える。それを意識をしている、というよりは会いたいからそういう行動を取っているというほうが近いかもしれないです。
会いたい理由があって、相手にもその気持ちが伝わって、相手にとっても会う価値がある、ということを伝えていくってことですかね。
ー 言葉にならない時はどうしていますか?
言葉にならないことはいっぱいあります。言葉にできているなら、会わなくてもいい。言葉にできているってことは全部わかっていることだから会わなくてもいい気がします。会いたいって思うということはわからない何かがあるってことですよね。
人に会った時には、その人のことを調べすぎないようにしているし、質問を羅列するようなこともしないようにしています。会ったときの印象で話すっていうことを大事にしています。
「調べもしないで何しに来たんだ」って怒られたこともありますが、書かれているもので知りたくなかったんですよね。本人と会って理解したかったんですよね。
たぶん多くの人は会いたい人に会いたいって言わないし、会うときはすごく準備しますよね。その逆です。でも会いたいからこそ、何らかのものが溜まっているんだと思います。
ー 佐藤さんは何十年もの付き合いの人が多い気がします。人との関係性を大切にする上で心がけていることはありますか?
オンオフをつけないってことですかね。ビジネスベースのものではなく、いい感じになりそうだなっていう感覚を大事にしています。
それと、どこで会うかを大事にしています。この人とここで会ったなという記憶って残りますよね。向かっていく道のりとかをセットで覚えている。その人がいる場所に行ってみたいし、自分のいるところにも来てほしいと思っています。
なんで、MATCHAに出資してくれたんですか?
ー そもそも投資とは何でしょうか?投資家の方が普段どんなことにアンテナを張っているのかを聞いてみたいです。
自分の時間を使うとか、友達との関係に投資するとか、企業の商品を買うこともすべて投資です。株券とか投資信託とかに投資するっていう金融資産もあるし、人的資産とか知識、友達との関係、旅行に投資することも全部投資だっていうのが僕の考えです。だから、すでに生まれた瞬間から投資をしているわけです。時間を使って新しい何かが生まれてくることも投資だと思っています。もし預金を持っていれば、それも円に投資をしているってことになるんです。
その中で、半径1.5mくらいのところにアンテナを張っておくといいですよ。答えが遠くにあるわけでなく、とても近くにあって、身近なところで起きている変化が1番のヒントになるんじゃないかなと思っています。
僕の好きなエピソードで、アメリカのファンドマネージャーであるピーターリンチの話があります。投資は未来のことなんです。でも企業の決算書は過去のことなんです。それを見ててもそこに答えはないんです。
ピーターリンチは決算書を見るより、世の中で起きていることを見るべきだとしています。ピーターリンチの奥さんが褒めていたストッキングが半年後くらいに雑誌に掲載され、1年後に利益増が決算書に反映されました。そのストッキングの魅力に1番早く気づいたのは奥さんですよね。それにちゃんと気付けるかという話と一緒です。
ノウハウが書いてある本を読むよりも、身近な人の会話が意外と大事だったりします。
➖ 仕事や人生にも通ずる話ですね。ここでこのインタビューの本題なのですが、なんでMATCHAに投資してくれたんですか?
青木さんと会って、話を聞いた瞬間に投資したいなと思いました。
まずはワクワクしたから。それと、自分と違うと感じたから。それまでの経営者と違う感じがした。3つ目はインバウンドという日本の文化を世界に発信するということがバリュークリエイトのやりたいことと似ていたからですかね。
MATCHAっていい出会いがあるメディアなんだなと感じました。画一的ではなく自分で選べるMATCHAというメディアがいい。
投資した後に、青木さんは若い起業家でありネットワークがあるということを感じました。そういうみなさんやMATCHAとこれからできることや期待することが多いと思いました。
自分を空にして、次のことをやりたい
ー バリュークリエイトとMATCHAと第3者とでできることが多いように感じます。そういう何かが生まれていくなと感じることがあります。MATCHAに期待していることやもっと会社がおもしろくなるなと感じていることはありますか?
思い付きにはなるんですが、株主インタビューで社内にこんな株主がいると紹介するなら、僕が会社に話に行きますね。そういうことをやりたいです。自分やバリュークリエイトが経験してきたことで、若い世代にパスできるものは全部パスしていきたい。僕は空になったら、次に行きたいと思っているんですよ。
あとは、メディアの力・表現していく力・書いていく力をコラボレーションしていきたいです。バリュークリエイトの価値ということも考えて、MATCHAとの掛け算をしていけばいいんじゃないかなって。
ー MATCHAのバリューに、Co-Creationがあります。これからは一社だけで戦わない会社経営が大事になると思っています。このバリューに基づいて、会社をよりオープンにしていこうと準備中です。佐藤さんは、会社をオープンにしていくために、何が大事だと思いますか?
それは今の僕のテーマでもあります。会社の垣根はどんどん低くなってきているが、もっと低くしたい。そもそも社内、社外という表現すら疑問を持っています。
自律分散型のDAO的な組織を目指していくべきなんじゃないでしょうか。そのために、誰をバスに乗せるのか。成果軸よりもバリュー軸を考える必要があります。
オルフェウス室内管弦楽団といって指揮者がいないオーケストラがあります。本来、オーケストラは自由な表現者なはずだが、指揮者に従わざるえないがために自由度が下がってしまう。そこで、指揮者を無くし、メンバーが対話を通じて、素晴らしい演奏を作りあげるというエピソードがあります。
「本を読め、人に会え、そして旅をしろ」
ー 佐藤さんの今後のビジョンをお聞きし、インタビューを終えたいです。
菊池寛が作った文芸春秋を引き継いだ池島信平の言葉「本を読め、人に会え、そして旅をしろ」を目指しています。
とにかく、自分の持っているナレッジを誰かに全部共有したい。ナレッジは共有すればするほど増えていく財産です。お金やものは人にあげたらなくなってしまいますが、ナレッジはそうではありません。全部を出し尽くしたいと思っています。
あとは企業の価値と文化の掛け算というものをやっていきたいです。数字の部分だけで企業価値を終わらせたくないです。
あとがき
山中湖の空気もあったんでしょう。1時間のインタビューだったのですが、いつもより佐藤さんの周波数とあって、会話がより楽しくなりました。
佐藤さんの好奇心の源泉、そしてその好奇心の循環のさせ方について聞くことができて、とてもいいギフトをもらったような感覚でいます。何より印象的だったのが「早く空になりたい!次にいきたい!」という言葉。ゾクッとしましたし、佐藤さんがより好きになる考えでした。
つい年を重ねるごとに、色んなものを抱えていきがちになり、時に手放すことが怖い気持ちになるのですが、真逆の発想なんだなと。
今、いくつものプロジェクトを佐藤さんきっかけで生まれはじめています。会社として期待に応えられるよう、楽しみつつ頑張ります!
今まで行った株主インタビュー
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(書き起こし・編集:渡邉夏美 写真:ミホワン)
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