ログリッチという選手



こんばんは。
青木です。

ここ最近ロードレースにハマってまして、今日はその面白さと熱量を伝える回となります。よろしくお願いします。

あ、ちょっと待ってください。
「自転車かぁ…よく分かんないからいいや」と思ったアナタ、ブラウザを閉じるのはまだ早いです。
なんせ僕はここ1ヶ月でロードレースにハマり始めた素人です。大して難しい専門用語は出てきません。そしてなにより知識ゼロでも読めるよう、可能な限り分かりやすく書きますので安心してください。
(気遣いのできる男です)



さて、今回書きたいのは、そんなロードレースのドラマチックなお話です。


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6月末から約3週間ほどかけてフランスで開催された「ツールドフランス」。
フランス国内を西へ東へ、全21ステージに渡って走りまくる全長3,400kmのレースです。

世界一の大会ですし、ツールドフランスという名前くらいは聞いたことがある人も多いんじゃないでしょうか。


これまでロードレースをほとんど観たことがない僕でしたが、アニメ「弱虫ペダル」をきっかけに自転車に興味を持ち、今回初めてリアルタイムで観戦してみることにしました。

ただルールも知らなければ選手も分かりません。とにかく少しずつ覚えていこうと思い、アレやコレやと検索していたら
「ツールドフランス2021注目選手たち」
なる記事を発見。

まだ応援したい選手も特にいなかったので、とりあえずこの記事の中からテキトーに推しの選手を決めることにしました。
(誰でもいいから「推し」を決めて応援することによって、そのスポーツ全体を好きになりやすいという傾向があります)


色んな国の色んな選手がズラっと並ぶ中、ふと目に止まった1人の選手がいました。

それはスロベニア出身のプリモシュ・ログリッチ選手。




ログリッチは元々スキージャンプの選手としてオリンピックを目指していたのですが、怪我をきっかけに引退。それから自転車競技へ転向したという異色の経歴を持っています。

その記事を読む限りでは、どうやらロードレース界ではかなり有名な選手で、数々の大会で優勝している実力派のようでした。
ただアンラッキーな一面も持っており、突然の逆転負けや落車(転んじゃうこと)による敗戦など、不運なイメージのある選手…とのこと。


この「強いんだけど不運」というキャラクターが、僕の好みのど真ん中を突いていました。


僕はプロレスや競馬も好きなのですが、応援しているレスラーや競走馬は「才能はあるのにイマイチ勝ちきれない、でもいつか勝ってくれるんじゃないかと夢を見させてくれる選手(馬)」ばかりです。
そういう「惜しかった!でも次も応援するからな!今度こそ勝ってくれ!」と思わせてくれるところが魅力で、ついつい好きになってしまいます。

そんな僕ですから、ログリッチを応援しないわけにはいきません。



さあ、推しも決まったところでツールドフランスの開幕です。

全21ステージの初戦。
実況や解説を聞く限り、やはりログリッチは優勝候補の一角を担っているようです。


…ところが。
なんとログリッチは初日からトラブルに巻き込まれ落車してしまいます。

「えっ!ほんとに落車してる!」

あの記事の通りでした。マジで不運すぎる。

なんとか初日を完走したものの、決して優勝を狙える順位ではありませんでした。

更に第3ステージでも他の自転車に巻き込まれる形で落車。
ユニフォームはボロボロに破け、傷だらけの状態で走ることになってしまいます。

↑真ん中がログリッチ。太もも部分が破けて血が出ています。痛そう…。


その後も怪我の影響から上位に食い込むことはできず、とうとう9日目を迎える前にツールドフランスからリタイアしてしまいました。

しかし、ログリッチが去った後もツールドフランスは続きます。

結果、今年の総合優勝を飾ったのは若干22歳の天才・ポガチャル選手。

↑ガッツポーズを決めるポガチャル。みんな普通に両手離して運転できるの凄いよな。


彼は2020年のツールドフランスに続いて2年連続の優勝。つ、強すぎる。
しかも2020年大会では、暫定首位のログリッチを最後の最後で逆転して優勝したそうです。
ちなみに出身はログリッチと同じスロベニア。


若手選手の台頭。
最後まで走り切ることができなかった自分。

これ、ログリッチの心境を考えると決して心穏やかではないですよね。
めちゃくちゃに悔しかっただろうし、このまま若手に世代交代しちゃうんじゃないかとか、不安もあっただろうなと思います。
(勝手な予測ですが)



ツールドフランス終了からわずか6日後。
今度は東京オリンピックが開幕します。

レースの疲れを癒す間もなく、ログリッチは金メダルを目指して日本にやってきました。
どうやらツールドフランスを途中でリタイアしたのも、オリンピックを目指したかったという理由があるそうです。
金メダル獲得に向けて気持ちを切り替えたわけですね。


7月24日。
オリンピック開会式の翌日、早速ロードレースが開催されます。
(聞いた話によると、各国の街並みなどを世界に見せるために大会序盤にロードレースが組まれるパターンが多いそうです)

勝つのはツールドフランス連覇を達成したポガチャルか?
怪我から復帰したログリッチが勝つんじゃないか?
いやいや、あの選手も調子がいいらしいぞ。

様々な予想がある中で、もちろん僕はログリッチを応援しました。
ツールドフランスの無念を晴らしてほしい!がんばれ!!


レース中盤。
安定して先頭集団を走っていたログリッチですが、途中からじわじわと後退してしまいます。
途中で水をがぶ飲みしたり、氷を背中に入れていた様子から、もしかしたら熱中症だったのかもしれません…。

最後は随分と順位を下げて28位でゴール。
同じスロベニア代表で出場しているポガチャルは、堂々の銅メダルに輝きました。


悔しい!
なんとかログリッチが勝つところを観たい!


ログリッチは4日後に行われるタイムトライアルという種目に出場することが決まっていましたが、ツールドフランスからオリンピックまでの不調っぷりに
「ログリッチは大丈夫なのか?」
「タイムトライアルは辞退するかもしれないらしいぞ」
などネガティブな噂も立ち始めました。


このままログリッチはもう勝てないのか…。



7月28日。
ログリッチはタイムトライアルに出場します。

タイムトライアルとは、数分置きに1人ずつスタートして、ゴールまでのタイムを測定。最も速かった選手が優勝となる競技です。
誰かと並んで走ったりするわけじゃないので、とにかく個人の能力が問われます。
(マリオカートのタイムアタックみたいな感じです。ゴーストはいないけど)


各国の代表選手が次々とスタートを切り、続々とゴールしていきます。
誰が勝ってもおかしくない世界大会。
弱い選手なんて1人もいません。

そんな中、この日のログリッチの走りは素晴らしいものがありました。

スムーズなコーナーリング。
直線での勢い。
速すぎて数分前にスタートした選手たちに追いつき、次々と追い抜いていく。

ゴールタイムは55分04秒。
なんと2位と約1分の差をつけて優勝!

見事、金メダルを獲得することができました。

ほんの1ヶ月程度とはいえ、応援し続けた選手の優勝。思わず画面の前で拍手を送ってしまいました。



表彰台に上がるログリッチ。
その時、元スキージャンプの選手らしくテレマーク(着地のときのポーズ)を披露してくれたのですが、これがとんでもなくドラマチックだなと思ったのです。



怪我によってオリンピックを諦め、スキージャンプを引退した過去。
自転車に競技を変えて、世代交代の波や思い通りに走れない挫折も味わいながら、最後のチャンスで掴んだ念願の金メダル。

そこに至るまでのドラマと、それら全てを詰め込んだ表彰台でのテレマーク。

何回負けようが、何回挫折を味わおうが、どんな形であっても目標に向かってひたむきに進んでいく。
こんなドラマチックでカッコいいことはありません。


月並みですが、僕はログリッチから勇気をもらえたような気がします。


ログリッチ選手、おめでとうございます!
アナタのおかげでますますロードレースが好きになりました。

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