医学部の授業や実習の代替はどうするのか?

大学での授業のお話をさせてもらっていますが、医療系大学で学ぶ時間には、講義、ゼミ、実習というスタイルがあります。このうち、講義、ゼミは、オンラインで全然いけると思いますが、実習はどうやって代替するのでしょうか?私もわからないところが多いですが、諸外国の現状を見ながら、どんなことができそうかについて共有してみます。

①諸外国ではどうなっているのか? アメリカ

JAMAのVIEWPOINTに掲載された「COVID-19時代の医学生の教育」という記事を紹介します。今朝の抄読会で話題に上がりました。

この記事によると、米国では、医学部授業のうち、基礎科学、医療システム科学、行動科学などの授業は原則オンライン化に移行しているそうです。グループワークに関しても、仮想空間でのグループで行われ、臨床スキルセッションもできることはオンラインで実施され、できないことは現状延期や授業時間の移動・変更という措置をとっているようです。

余談ですが、Associations of American Medical Colleges (AAMC) では臨床実習を一時休止をサポートすることを示唆するガイドラインをだしています。臨床実習を休止することに加えて、出来る限り医学生が直接的なケア活動を行わないように勧奨しています。

医学生の段階からある程度の医療活動が求められていて大変だなあと思いながらも、貴重な戦力としてボランティア活動を行うという精神がまずすごいなあと思いますね。そのため、上にあげたようなガイドラインが必要になってくるんですね。

②諸外国ではどうなっているのか?イギリス

Lancetに掲載されているのは「COVID-19と医学教育」という記事で、こちらはイギリスでの医学教育の様子です。

イギリスではかなりの多くの病院で、臨床実習に参加する学生を停止しているようです。また最終学年の医学生でも、最終試験が近づいているにも関わらず、臨床経験が得られないという状況になっているそうです。そのことが、卒後1年目の医師の能力への悪影響が懸念されています。

③日本では

おそらくですが、臨床実習や対面式授業は延期または休止になっているものと思います。そのような中で、実習ではなく、オンラインで実施できるものはまず実施してしまうと言うのがいいかと思います。その上で、実習と同じくらいの経験をできるようにオンラインで授業を組みなおす必要がありそうです。例えば、社会福祉施設への訪問実習であれば、患者さんや施設の職員さんとのコミュニケーションをとることが何よりの学習になります。なかなか時間は許さないと思いますが、職員さんの話を聞いたり質問できる時間をオンライン上で設けたり、その施設で暮らしている架空の利用者さんを作り、学生同士でディスカッションをする時間を設けるのもいいかもしれません。また授業で考えたことを学生同士で共有し、授業の合間などに確認させることも必要かもしれません。

まとめ

諸外国における医学教育の動向と同じように、日本でも、オンライン授業で実施できそうなことを優先的におこない、実習が確実に必要な授業は延期にしたり、症例検討などで代替していくというのも必要になってきます。今後の展開によっては、遠隔診療の技術などを用いて実習を行うことも視野に入れる必要があるかもしれません。なかなか至難の業だと思うので、現状で使えるリソースを使いつつ、やっていくしかないなあと思っています。






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