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コンビニでのおにぎり選び、どうして迷うの?【心理学】

あなたはコンビニでおにぎりを買おうとしたとき、どれを選ぶか迷ったことはありませんか?

たくさんの種類が並んでいる中で、どのおにぎりが一番美味しいか、どれが自分の気分に合うか、考えるだけで時間がかかりますよね。

でも、なぜこんなにも選ぶのが難しいのでしょうか?

実は、人間の脳はたくさんの選択肢を前にすると、その中から一つを選ぶのがとても難しくなります。

これを「選択過多のパラドックス」といいます。

選択肢が多いと、どれが本当に良いのか迷ってしまい、逆に選ぶのがストレスになってしまうのです。

例えば、あなたがコンビニに行って、おにぎりが10種類並んでいるとしましょう。

梅、ツナマヨ、鮭、昆布、焼きたらこ、エビマヨ、明太子、焼きおにぎり、昆布、おかか…と次々に目に入ってきます。

この中から一つだけ選ぶのは簡単そうに見えますが、実際にはかなり悩むことになります。

なぜなら、それぞれの選択肢に良い点と悪い点があり、どれが一番自分に合っているのかを考えるのに時間がかかるからです。

選択肢が増えると、選ぶための情報も増えます。

そして、それぞれの選択肢を比較しようとすることで、脳が疲れてしまうのです。

例えば、「ツナマヨは美味しいけど、今日はカロリーが気になるな…」「鮭はヘルシーだけど、ちょっと飽きたかも…」といった具合に、頭の中でいろいろと考え始めます。

このようにしているうちに、選択すること自体が負担になり、結局どれを選ぶべきか分からなくなってしまいます。

しかし、ここで面白いのは、選択肢が少ない方がかえって満足度が高いという点です。

もしも、おにぎりの種類が梅、ツナマヨ、鮭の3種類だけだったらどうでしょうか?

選択肢が少ないため、迷う時間も短くなり、決断も早くなります。

そして、選んだ後に「もっと他に良い選択肢があったのでは?」と後悔することも少なくなります。

この現象は、私たちが日常生活の中で頻繁に経験するものです。

例えば、洋服を買うときやレストランでメニューを選ぶときも同じです。

選択肢が多すぎると迷ってしまい、逆に選んだ後に満足できないことが多いのです。

選択肢が多いほど人間は不安を感じやすくなり、最終的な選択に満足できなくなるんですね。

だからこそ、私たちは時々「選択肢が少ない方が良い」という場面に直面するのです。

次回、コンビニでおにぎりを選ぶときには、この「選択過多のパラドックス」を思い出してみてください。

そして、選択肢が多すぎると感じたら、自分の中で選択肢を絞ってみるのも一つの方法です。

もしかしたら、あなたの選び方が少し楽になるかもしれません。

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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この現象についての補足情報

心理学者バリー・シュワルツ(Barry Schwartz)の研究がよく知られています。彼は2004年に『選択のパラドックス(The Paradox of Choice: Why More Is Less)』という本を出版し、多くの選択肢が逆に不安や不満を引き起こすという現象を詳しく説明しています。以下にいくつかの主要な研究とその結果を紹介します。

  1. ジャムの実験(Iyengar & Lepper, 2000)

    • コロンビア大学のシーナ・アイエンガー(Sheena Iyengar)とマーク・レッパー(Mark Lepper)が行った実験です。スーパーマーケットでジャムの試食コーナーを設置し、24種類のジャムを試食できる条件と6種類のジャムを試食できる条件で購買行動を比較しました。結果として、24種類のジャムを提供した場合よりも、6種類のジャムを提供した場合の方が購入率が高くなりました。具体的には、24種類のジャムを試食した場合、購入率は3%でしたが、6種類のジャムを試食した場合は30%に上がりました。

  2. 選択の満足度(Schwartz et al., 2002)

    • バリー・シュワルツと彼の同僚は、多くの選択肢が人々の満足度に与える影響を研究しました。彼らの研究によると、選択肢が多いと、選んだ後に「他の選択肢の方が良かったかもしれない」という後悔の念が強くなり、全体的な満足度が低下することがわかりました。これは「選択後の不満(post-decision regret)」と呼ばれます。

  3. 消費者行動と選択肢の数(Iyengar & Lepper, 2000)

    • 別の実験で、学生たちにエッセイを書かせ、その報酬としてチョコレートを選ばせるというものがあります。選択肢が6種類のグループと30種類のグループに分けられました。結果として、6種類の選択肢を持つグループの方が、選択に満足し、選んだチョコレートを楽しむ度合いが高かったことがわかりました。

これらの研究は、多くの選択肢が必ずしも良い結果をもたらさないことを示しており、「選択過多のパラドックス」の存在を支持するものです。人間の脳は多くの情報を処理するのに限界があり、選択肢が増えると比較検討が難しくなり、最終的な選択に対する満足度が低下するのです。

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