オンライン集団療法

COVID-19の影響で、全国の医療機関でデイケアや集団療法がストップしている件が増えているのではないかなと思います。これまで集団生活を営んでいた場から離れることは患者さんにとって打撃は大きいです。ここではオンラインでの集団療法の可能性について考えてみます。

①オンライン集団療法ってできるの?

PubMedという文献検索サイトを利用して、集団療法、コンピューターという用語を使い、どのような研究があるかを調べてみました。結果として、オンラインで集団療法を行った研究が13件見つかりました。

研究の対象となっている病名・症状は、肥満、摂食障害(過食の問題)、慢性の痛み、性的な機能の障害、青少年のうつや不安、不眠、PTSD、冠動脈疾患、職場のストレス、ギャンブル問題、精神科入院患者の再発予防、でした。

これらの疾患の症状は、少なくともオンライン集団療法による治療の前後で改善しており、いくつかの研究では、対面式の治療と同じくらいの効果が得られていることがわかっているようです。

②どうやってやるの?

これらの研究では、オンラインビデオ通信、あるいはグループチャットを使用してオンライン集団療法を実施していました。

オンラインビデオ通信では、ZOOMやWebEX、JoinNetというソフトウェアやアプリケーションが利用されていました。これらのオンラインビデオ通信による集団療法は、ファシリテーターとメンバーが参加し、ファシリテーターが心理教育をおこなったり、ホームワークの内容を順次報告していったり、その内容についてディスカッションをおこなったりという流れで行われていました。

グループチャットでは、Adobe connect platformなどが利用されていました。グループチャットには、コメントの書き込みやファシリテーター付きの時間制限のチャットなどでの話し合いなどが行われていました。

このようなオンラインでの集団療法では、ディスカッションに加えて、ウェブサイト上での課題学習、毎日の記録の提出、課題提出も併用して行われていました。

③どんな問題があるの?

ネットワークに疎いひとたちは、参加が難しいということがこれらの研究に参加した人の感想に挙げられていました。コンピュータテクノロジーにうといということだけではなく、インターネットの通信料金もかかるため、コスト面での配慮も必要になります。

セキュリティ面の問題も考慮すべきです。インターネット環境からの情報漏洩という点ももちろんですが、参加者の家が特定されてしまったり、生活状況が垣間見えてしまうことも問題になるかもしれません。オンラインでのアプリケーションでは背景をぼかしたり、変更したりするものもありますので、そのような機能を活用すると良いかもしれません。

まとめ

・オンライン集団療法の実施は可能そうです。

・色々な疾患に応用されてます。

・ビデオ会議またはチャットルームを使っています。

・対面式の集団療法と内容は変わらないようです。

・ネットに疎い人、プライバシーの問題には配慮したほうが良さそうです。

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