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陸上経験なし35歳の社会人芸人が1年半トレーニングを積んでマラソンでサブ3を達成した話(その2 素質編)

 お世話になっております。社会人芸人たまプラーンアオキプランです。

1 はじめに

 私は、普段は公務員として働きながら、社会人お笑い芸人として休みの日に舞台に立つなど活動をしています。また、私の趣味の一つにランニングがあるのですが、2023年4月23日(日)に行われた長野マラソン2023に出場し、グロスタイム2時間58分57秒で完走して「サブ3」を達成することができました。

 サブ3は「市民ランナーの夢」とも言われており、多くの市民ランナーが目指している目標です。私は、陸上経験のないどこにでもいるおじさんですが、マラソンの練習を始めてから1年半でサブ3を達成することができました。この記事は、サブ3を目指している方の参考に少しでもなればと思い書いています。ぜひ、関連記事と併せてご覧ください。

前回記事(私の体格、運動習慣などのプロフィール)↓

 前回記事では、私の体格や運動習慣、マラソンの練習を始める前の走力について書かせていただきました。一応、「マラソンの練習を始めてから1年半でサブ3達成」というタイトルでこの記事を書いているのですが、それ以前に、既に8kmを32分台(約4分/km)で走ることができ、マラソン初挑戦で3時間39分台(松本マラソン2019)で完走していましたので、「コイツはそもそもマラソンの素質があるのではないか?タイトル詐欺ではないか?」という疑問を抱かれる方がいらっしゃると思っています。

 今回は、その「マラソンの素質」について自己分析をしたいと思います。

 単刀直入に言いますと、「中長距離の素質はありそうだけど、マラソンの素質はよく分からない」と自己分析をしていますが、複数の視点からマラソンの素質について深堀してみたいと思います。

2 ベストタイム

 まずは、サブ3達成時点の距離別のベストタイムは以下のとおりです。

1500m 4分43秒(2022年10月22日 トラック)
5000m 17分50秒(2022年11月5日 トラック)
ハーフ 1時間26分27秒(2023年2月26日 ロード練習)
フルマラソン  2時間58分57秒(2023年4月23日 長野マラソン)

 中長距離(800m~10000m)の素質がありそうという理由は、サブ3を目指している途中で出場することにした初めてのトラックのレースで、上記のタイムで走ることができたからです。陸上経験のある方にとっては大したことのないタイムかもしれませんが、35歳のおじさんが初トラックでこのタイムで走るのは珍しいと思います。

 市民ランナーの方は、ダニエルズ式ランニングフォーミュラをご存じかとと思いますが、その中のVDOT値(走力指数)でも、私のベストタイムだと数値上は距離が短い方が得意という結果になっています。VDOT値は高ければ高いほど走力があるとされているものですが、私の場合、1500m=「58」、5000m=「57」、フルマラソン=「54」となります。距離が短い方が、VDOT値が高いのが分かります。

VDOT値だとこんな感じです

 パーソナルトレーニングを一度だけ受けたことがあるのですが、その時にトレーナーさんにも、「1500m、5000mをそんなに速く走れなくても、サブ3を達成できている人はいるので、スタミナタイプではなく、スピードタイプですね。」と言われました。

 ということで、距離別のベストタイムでは「マラソンよりも中長距離の方が得意」という結果になっています。ただし、同じくサブ3を目指すランニング仲間からは、「スピードがあって良いですね」と言われたので、求められる以上の中長距離のスピードがあることは、マラソンで不利になるわけではないので、今後も伸ばしていこうと思います。

3 フィジカル面

 続いてフィジカル面です。

 フィジカル面では、あまりマラソンには向いていないと思っています。なぜなら、前回記事でも書きましたが、身長167cm、体重59kg、体脂肪率9%、BMI21は、全くマラソン体型ではないからです。無駄な筋肉が付いている、スプリンター体型です。

 マラソンに向けた練習をする前は、筋トレとランニングを半年ごとに繰り返していたのですが、その時の名残でマラソンには必要のない大胸筋が少し残っています。また、ウエストはピッタリなのに、ふくらはぎと太ももが太すぎてズボンが引っ掛かってしまい、ちょうどよいズボンがないという現象にたびたび悩まされています。

 体組成計で計っている現在の体脂肪率が正しいのなら、体重は55kgくらいになっているのが理想だと考えています。マラソンは体重が1kg軽いとタイムが3分縮まると言われているので、4kg減って12分速くなればサブエガ(2時間50分未満)が狙えますね、もったいない。

 また、若い頃も特別に持久力があったわけではありません。小学生の頃のマラソン大会でも上位に入った記憶もありませんし、中学・高校で行うスポーツテストの持久力種目20mシャトルランも中高生の時に10点満点となる125回をクリアできませんでした。1500mのタイムなら、中学・高校の時よりも今の方が速いような気がします。

 自分で言って悲しいですが、以上のように決して恵まれた体型ではなく、若い頃から長距離が得意というわけでもありませんでした。年齢による限度はあると思いますが、サブ3を達成するのにフィジカル面で特別に優れている必要なく、正しくアプローチをすれば、ほとんどの方がサブ3を狙えると思います。

スプリンター体型にはトラックが似合う

4 メンタル面

 続いてメンタル面ですが、私は、メンタル面ではマラソンに向いていると思っています。

 マラソンにおけるメンタルの役割は、走ることを継続させるためにあると思っています。日々のトレーニングを継続するためにも、レースで苦しくなった時に継続して走るためにも、メンタルの力が必要なのです。

 では、どういった人がメンタル面でマラソンに向いているかというと、「自分大好き人間」だと考えています。この自分大好き人間は、「有言実行」と「自分を客観視すること」が得意であり、それが走ることを継続させるために繋がると考えています。

 有言実行は、いわば頑張っているアピールが、結局は自身の頑張りに繋がるということです。知り合いやSNSでマラソンに挑戦していることをアピールするのは、頑張らないといけない状況を自ら作り出すことで、練習がイヤな時、レースで苦しい時に諦めないことに繋がります。「SNSにアップするために今日も練習頑張る!」、「このレースに出場するって言っちゃったから頑張る!」、目標を周りに発信することは、それを実現するために、自分を奮い立たせる効果があると思います。

職場に「フルマラソン走るから翌日休む」と言った以上、お土産と結果を持ち帰るしかない

 次に、自分を客観視することができる人は、力の加減が得意な人です。マラソンは、練習でもレースでも非常に長い時間、自分と向き合うスポーツです。走ることを継続するためには、自分の置かれている状況を見極め、頑張るべきところで頑張り、力を抜いても良いところで力を抜くことが必要です。「(レース終盤)あと7㎞なんて普段の練習より短いから頑張る!」、「体が重いからポイント練習は今日じゃなくて明日でいいや」、このようなメンタルが備わっている人は、マラソンに継続して取り組めると思います。

 以上の点で、自分大好き人間には、マラソン向きのメンタルを備えている人が多いと考えています。かく言う私も、働きながら芸人の活動をしていたり、こうやって武勇伝をnoteで発信しているような人間なので、一般の方と比べて自己顕示欲が強く、自分のことが好きな傾向があると思います。文字に起こすことで改めて意識しましたが、マラソンに取り組むにあたっては、有言実行と自分を客観視することは日ごろから行っているような気がします。

 また、長野マラソン2023に臨むメンタルの準備としては、直前にこの動画を見れたことも大きかったと思います。

 ランチューバーのポップライン竹本さんまるお製作所ヒロさんのトーク回ですが、8分40秒あたりからヒロさんが「マラソンはキツいもの、キツいことにお金を払っている。キツくなってからがマラソン、キツい方がコスパが良い。」と仰っています。

 この言葉は自分の中ですごく腑に落ちて、レース中に苦しい時間帯が来たら、思い出そうと決めていました。レースでは案の定35kmあたりで苦しくなりましたが、「やはり来たな、ここからが長野マラソンだぜ!」と自分を奮い立たせました。「苦しい状態が来たら頑張る」と準備しておくことは、自分を客観視できていたから実行できたものだと思います。

 ぜひ動画で、まるお製作所ヒロさんの熱い言葉をご覧ください。

5 練習量

 一般的にサブ3を達成するためには、月間走行距離が200km~250km必要と言われています。「月間走行距離100kmでサブ3を達成!」というような記事を見ることがありますが、私も、レース直前には230km走る月もありましたので、練習量からすると素質は普通だと思います。

 練習は当然「量より質」だと思いますが、ロング走でしか得られない質もあるので、目標を達成するためには、結果的に練習量が増えます。練習内容については別の記事で書かせていただきます。

2023年2月〜4月は200kmを超えていましたが、ちょうど1年前は全然走っていませんでした

6 モチベーション

 「情熱に勝る能力なし」駒澤大学の大八木元監督が用いることで有名なこの言葉ですが、本当に情熱=モチベーションはとても重要な要素だと思います。

 私がマラソンに取り組むにあたってのモチベーションは、「自分の頑張りが、そのまま結果に繋がるのが楽しいから」でした。学生時代にバスケットボールをやっていましたが、相手がいるスポーツは、自分以外の要素が多く、いくら練習を頑張っても全然結果が出ないものもあります。それと比べてマラソンは、自分以外の要素が少なく、頑張ったことがすべて自分に返ってきます。

 これは、あくまでサブ3レベルの話で、それ以上を求めると、結果が出ずに途中で挫折してしまうかもしれません。それでも素人から始めた私にとっては、練習や工夫をしたら、その分速く走れるようになったのがとても楽しかったので、モチベーション=情熱を失わずにマラソンに取り組めました。

情熱ゆえサブ3達成後は一人で泣いていました

7 向いていない点

 マラソンに向いていないと思う点を一つ挙げると、食生活です。

 私の、食生活の特徴を書くと、食事制限は全くしておらず、お酒と脂っこいものも気にせず摂取しています。焼肉とラーメン二郎が好きです。3食食べていますが、小食なので量はあまり食べられません。お酒を飲むため、夜は炭水化物は食べません。お酒を飲むとスナック菓子も食べてしまいます。EAAとプロテインは摂取しています。

 「アスリートじゃないし、走って消費カロリーが増えているから、食事は気にしなくても良いか」ぐらいの感覚で生活しています。ただ、それでもひと月230km走ると、それだけで消費カロリーが13,000kcalくらいになるので、ある程度までは体重を落とすことができています。また、サブ3を目指し始めてから、朝走る機会が増えたので、前夜にお酒を飲む機会が減りました。

 筋肉量が減らないのは、この食生活が原因かもしれませんので、改善してみたいとは思っています。ただ、サブ3を目指す人もアクティブ時の消費カロリーが多いと、体重は増加しないはずなので、そこまで食事面を気にする必要はないのではないかと思います。むしろ、レース前のカーボローディングやレース中の補給に向いている胃腸の方が大切かもしれません。

長野マラソンではサブ3と同時に一人焼肉きんぐも達成

8 マラソンの素質

 以上、自己分析をしてみました。○×で表すと、

 ベストタイム 〇
 フィジカル面 △
 メンタル面 ◎
 練習量 〇
 モチベーション ◎
 食生活 ×

 というような結果になると思いますが、専門家に聞いたわけではないので、「中長距離の素質はありそうだけど、マラソンの素質はよく分からない」とさせていただきます。

 ちなみに、若い頃の運動経験や社会人になってからの運動習慣も影響してか、サブ3に必要とされるレベルの練習は苦とは感じませんでした。練習あってのレースなので、マラソンの練習が苦手に感じなかったのは、マラソンの素質があると言っても良いのかもしれません。

 なお、マラソンに限らずスポーツ全般ではレベルが高くなるにつれ、素質におけるフィジカル面が求められる割合が大きくなってくると考えています。

9 おわりに

 「いや、プロフィールとか素質とかどうでもいいんだ、この自分大好き人間が!早くサブ3を達成した練習メニューを公開しろ!」と思った方もいらっしゃると思います。お待たせしました、次回は「サブ3を達成するために取り組んだ練習」について書かせていただきます。

 年齢的な限度はあるかと思いますが、サブ3レベルであれば、素質はほとんど関係ないと思っています。レースに向けた練習のアプローチが大切であると考えていますので、参考になれば幸いです。

 それでは、次回もよろしくお願いします。

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