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映画「わたしは分断を許さない」オリジナル・サウンドトラック

音楽を担当させて頂いた堀潤監督ドキュメンタリー映画「わたしは分断を許さない」が、2020年3月7日(土)より、東中野ポレポレを皮切りに劇場公開致しました。

この映画は、堀さんが5年の歳月をかけて積み重ねてきた、世界各地ー福島、シリア(ヨルダン)、パレスチナ、カンボジア、朝鮮半島、香港、沖縄での取材映像を元に、あらゆる現場で堀さんご自身が感じたある共通項と、それらに直面する人々を追った105分に渡る長編ドキュメンタリーです。

この度、劇場公開に合わせ、オリジナル・サウンドトラックを配信リリースさせて頂く運びとなりました。iTunes Store、Apple Music、Spotify、Amazon Music等、各種音楽配信サービスでお聴き頂けます。

サントラの配信用ジャケットに写っているのは、堀さんがヨルダンであるご家族を取材された時に一緒にいたクルド人難民の男の子です。今回のサントラにとても相応しい印象的な写真に感じ、堀さんにお願いしてジャケットとして使わせて頂きました。そちらの写真をメインに、グラフィックデザイナーの村上健さんにジャケットデザインをお願いしました。(村上さん、ありがとうございます!!!)

こちら、CD化の予定はないですが、村上さんにバーチャルでパッケージ化もして頂きました。

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サントラの内容は、劇伴と劇中未使用の楽曲を含めた全16曲となっています。映画音楽だけあってほとんどがインスト楽曲ですが、アコースティックな歌モノも1曲収録されています。

01.分断
02.香港
03.灯
04.懸念
05.わたしは分断を許さない
06.イメージ
07.想う
08.帰国会見
09.現場
10.基地
11.日常
12.分断 (feat. aru)
13.近くて遠い
14.想う (piano piece)
15.わたしは分断を許さない (credits)
16.朝焼け

今回の映画音楽は、監督である堀さんからご注文を頂いてから作った楽曲、自主的に作った楽曲、劇中自由に使ってもらう事を想定して作った楽曲、のいずれかに当てはまります。

それらを監督である堀さんに投げて、まずは堀さんと編集の高橋昌志さんにシーンと音楽を自由に組み合わせて編集して頂きました。そして、最終的に音響効果の大庭秀夫さんとミキサーの駒澤大介さんを交え、堀さんのナレーションと映像、そして音楽と音響をシーン毎に細かく整え、映画の完成に至りました。

サントラ収録するにあたり、各音楽のタイトルを決める必要があったのですが、例えば、あるシーンに当てて作った楽曲が別のシーンで使われることもありましたので、最終的に堀さんが映像に音楽をあてた理由と、映画の中でそのシーンがどのような意図で存在すべきなのか吟味したことを曲タイトルに反映させました。


今回の劇伴制作で特に優先すべき工程と考えたのが、メインテーマを見つけることでした。

この映画では、劇中たくさんの人物や街が登場し往来します。文化も人種も国籍も年齢も性別も、まさに多種多様です。一見テーマがカバーし切れないくらい広範囲にある印象なのですが、堀さんがそれら全てに漂う共通項、つまり人々や社会を"分断"へと誘う何かの存在こそ、本作品の重要な制作動機の1つであり、この映画の中でも取り分け大きな意味を持っている要素でもあります。

そこで、それら映画(映像)要素を紡ぐような強力なメインテーマを据えたいと考えました。それが、M05.わたしは分断を許さないです。

この曲は、割と長い時間をかけて少しずつ形作っていった楽曲なのですが、劇中ほぼ全般にかけて登場される深谷敬子さん、そして久保田美奈穂さんという2人の女性の存在がなければ創れなかった楽曲だったと思います。劇中流れる音楽は、ほとんどこのメインテーマを音楽的に変形させたか、もしくはその音楽要素をどことなく匂わせるように設計されています。

そして、もう一つ、サブテーマとして据え置いたのがM01.分断です。

M01.分断は、堀さんに一番初めに提案させて頂いた音楽でもありました。メインテーマ同様、この楽曲を元にした音楽も広範囲で使われています。

あるテーマを変容させて劇中に散りばめる映画音楽の構築手法は、おそらく常套手段とは思いますが、自然とそこに至ったのも、きたむらけんじさんによる脚本からの影響がとても大きかったように感じます。


今回の映画音楽は、メインテーマ、サブテーマのみならず、一曲一曲に明確な創作過程があります。より詳しい内容は、こちらのライナーノーツに記載致しました。よろしければご覧下さい。


これからゆっくりと時間を掛けて、「わたしは分断を許さない」全国へと巡回します。

2020年3月現在、劇場へ足を運ぶ事に不安な方、懸念されている方、いらっしゃるかと思います。どうか、ご無理のない範囲で、劇場まで足を運んで頂ければ幸いです。

今、この時代に、こんな映画があるんだという事だけでも知って頂ければ。

よろしくお願い致します。


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