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麻雀 嶺上誕生

 ※嶺上さん誕生日記念フィクション

『酷い店に入ったわ‥』

心の底からそう思った。でも、もう賽は振られたしゲームはオーラス。

対面の毛蟹(ケガニ)と言う人との点差は15300。
親はノーテン気配。

「指し馬は俺のものみたいだな!姉ちゃんよ!正義は勝あつ!」

ヤニだらけの口から思ってもみなかった正義という言葉がニチャリと飛び出した。

この店に入ってから対面のケガニという男から指し馬を持ちかけられた。

『一本』と言って、500円のカードを持っていたので、『指し馬も珍しいから500円なら』と思って挑んだら、何と1着順5000円

残りの二人も

「この店の一本ったら5000円よお!それにアンタもオーケーと言ってたぜ!」

「よかったじゃねぇか姉ちゃん5万円じゃなくて!何回身体売っても足りねぇからさ!」

と言って大笑いしていた。
店の人間もそれをみて楽しんでいた。
神奈川の暗黒街、聞いてはいたが酷い所だ。

そんなオーラス、こんなテンパイ 

マンガン条件を満たす、中混一色赤。
中が2枚見えての苦渋のテンパイだった。

上家から4ソーがこぼれる。  
僅かに2着あがりを頭によぎったが

『ここはスルーだ。』

すると、対面のケガニという男が

「チェック!」

と叫んだ。

「今のが腰に見えたの?」と呆れ顔でいうと

「僅かに腰を使った!腰を使った牌で当たるなんてSNSでコメントを返さないぐらい酷いぞ!」

と激高した。
そして、

3ゾーと入れ替える
すると、下家からも4ソー。
こうなったらまた見逃しだ。唇を噛む。するとケガニは

「カン4ソーからの変化だろぉ?俺は連対率が6割の勝ち組だからわかるんだよぉ!」

と、ニタリと笑いながら

「ほぅら、同巡で7ソーだ!当たっていいぞぉ!」

と、7ソーを切る。
その時

「カン!」

「勝ち組さんはもっと違う牌は切れなかったのかしら?」

嶺上牌を手繰り寄せ

 

「ツモ!同巡でも、架空のチェックでも大明槓責任払いなら逆転ね!」 

おお!とざわめきが起きる

リンシャン、混一色、赤、中

「槓ドラ、めくってちょうだい。」

新ドラは7ソー

「倍満なら貴方がラスね。」

「ああああああああああああ!アウト…廻銭をお願いします!」

別室に連れてかれそうなケガニに『待ちなさい』と引き止め

「可愛そうだから勘弁してあげるわ。もう悪い事しちゃだめよ。」
  

「あ、あ、ありがとうございます!ありがとうございます!あのう‥あなたのお名前は‥?」

「あたし?そうね‥。」

嶺上牌の4ソーを持ちながら

「長野のリンシャンよ!」

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