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碧木和弥【碧木和弥の作品公式公開Website@note】
2021年12月31日 13:09
まだ、指先が冷えて痛む。 水仕事をしていたマンションから見える人通りが、描き消すように無くなった。車もごくたまに通る未明くらいの台数だ。それも、今は街の暗さで、音で分かるくらいだ。 椅子に座って、煙草をくわえた。暖かく感じるライターの炎。一口目の旨さ。目に入った煙が染みた。 ぐい呑みにぬる燗をいれて、舐めるように一口。ぐっと一口。 「今年も最後の日か」 つぶやいて、酒が体を温めるのを