小さな頃によく通った駅を
ときどき思い出す
あそこはもう廃駅になった
その前から人の
まばらな場所だった

そこで父に小さな笛を
買ってもらったことがある
緑色の 音色が一つだけの
気に入っていたのに
幼稚園で
誰かに盗まれてしまった

苦みとともに思い出される
この駅は心の故郷である
もう戻ることのない
永遠に遠い存在だからこそ
胸から離れないのだろうか