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付着.18 翼をください

今回は「つ」だ。

「つ」は「ち」とは違った意味で地の底まで行けそうな言葉が多く、出だしでつまずいた。

辛い、冷たい、つれない、つたない、ツンデレ、罪、償い………

こうして並べるだけでなかなかの強者揃いである。「つ」は沼だ。それも泥沼の方だ。ツンデレは最たる沼だ。そんな沼達から引っ張り出した今日のテーマは「翼」である。

翼と聞いてイメージするものは人それぞれだろう。天使や悪魔の大きな羽やキャプテン翼、タッキー&翼。この辺りが主力かと思うのだが、選んだのは羽の翼だ。(今日はやけに王道チョイス。)

翼をください。誰でも一度は歌ったり聞いたことがあると思う。むしろ、一度はこの大空に翼を広げ飛んでいきたいよと願ったことがあるのではないだろうか。

しかし、背中に翼が生えて空を飛ぶことをリアルに想像すると、翼だけでは足りない気がするのだ。昔読んだ空想科学読本?という本に似た話になるかもしれないが、しばしお付き合いいただきたい。

我々が2枚の翼だけで空を飛べるとして、真っ先に問題になるのがドライアイだ。俺、ものすごくドライアイだ。原付にも乗れない程、涙が止まらなくなる。これでは前が見えない。さらに空気抵抗が凄いことが予想される。下を向きながら飛べば頭頂部にかなりの負荷がかかり、抜け落ちる髪の毛。確実にカッパハゲへの道が開ける。ちょっとでも首を上げて空気抵抗を受ければ首の骨がおかしなことになるし、前髪が抜け落ちて落武者ハゲへの道が開けてしまう。

なんにせよ。まず、ハゲる。

そして、天空は寒い。漫画やアニメのように身体ひとつで飛ぶには寒すぎる。せめてネバーエンディングストーリーのファルコンくらいの毛皮が欲しい。

後は、空気が薄い。ひどい酸欠に高山病必須だろう。気圧の変化も重大なので偏頭痛を持っている俺にはバファリンもかかせない。なぜバファリンなのかと言えば、優しさが欲しいからだ。凍えたハゲにもバファリンは優しさをくれるはずである。

このように我々人類が自由に空を飛ぶには翼だけでは足りないのだ。特に毛が。悲しみのない自由な空へ行きたいはずが、今のところ悲しみしか浮かばない。なんてネガティブなんだ。

さて、全ての条件をクリアしてモジャモジャの怪物になったあと何処に行こうか。きっと人里に降りたら化け物扱いされ捕獲されることは目に見えている。やはりここは人気の少ない孤島や山奥。北欧にでも行ってオーロラの中を飛びたいところだ。ようやく明るいビジョンが見えてきた。が、打ち止め感が否めない。

空を飛んだところでこの程度のことしか出来ぬなら、しっかりと大地を踏みしめて自分らしい人生を「つくる」ことが大切に思えてきた。

辛いこともつまずくこともあるだろう。それでも強く生きていこう。明日をつくるのは自分の手だ。人間に与えられた翼こそ、その手その足その身体なのだ。

全てを目一杯羽ばたかせて、明日も素敵な1日をつくれたらいいなと思う。

机に向かって、言葉を紡ぐ。1ページ1ページを繋いで、夢を掴んでみたい。

積み重ねて、いつか大切な想いを伝えきれたら俺はきっと幸せだ。

皆さんも自分だけの翼を広げて、素敵な明日を掴んで下さいね。

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