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戦略コンサル→スタートアップ転職の適合チェックとリスクヘッジの実践的方法

こんにちは。 Ubie で事業開発を担当している Akira です。新卒で戦略コンサル、セカンドキャリアとして自身の会社経営、同時並行でヘルステックスタートアップのUbieへの参画と少しユニークなキャリアを歩んでいます。自身の経験ならではの学びを社会に還元できないかと考え筆を執りました。

こんな人に読んでほしい

スタートアップ転職を迷っているコンサル出身者

スタートアップに転職したものの思うように活躍できてないコンサル出身者

コンサル出身者を採りたいスタートアップ採用担当者

戦略コンサルのキャリアパスとしてファンドと並んで人気なのがスタートアップ転職です。ビジネスデューデリジェンスなどの業務経験が直接的に活き、年収レンジも合うファンドへの転職は生活水準や働き方のイメージがしやすいと思います。

一方で、スタートアップへの転職は活躍するイメージがしづらく、また給与面や会社の社会的信用など家庭的な懸念もあり、心では YES と思っていても実際転職に踏み切りにくいのではないでしょうか。
はたまた、戦略コンサルとして活躍する中で、より社会的インパクトのある仕事を求めてスタートアップへ転職したものの、自身の思い通りに活躍できてない方も多いのではないでしょうか。

戦略コンサルを採用してみたものの期待値と現実のギャップに頭を抱える人事の方も少なくないでしょう。

本記事を通じて、こうした方々のお悩みを少しでも解消できれば幸いです

1. 本当に生活が破綻しないか
~経済的リスクを正しく見積り、ヘッジする方法~

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戦略コンサルからスタートアップに転職すると、ほぼ100%目先のキャッシュフローは悪化します。それなりに戦略コンサルでキャリアを積むと年収2,000万円程度までの所得が得られる/もうちょっとがんばれば手が届く、ようになりますよね。

一方で、スタートアップでこれだけのサラリーを捻出できる企業は存在しません。SOが出たり、将来的な給与アップの可能性はあれど、転職後数年のキャッシュフローが悪化することは避けようがありません。スタートアップは資金的余裕がないことも多く、倒産リスクもあります。ある日突然、仕事がなくなり給料が支払われなくなるリスクがあるのです。

スタートアップに挑戦するとなると、このリスクは避けようがありません。リスクを避けられないのであれば、ヘッジするしかありません。では、具体的にどうすれば良いのでしょうか。ヒントとなるチェック項目とリスクヘッジの方法をご紹介します。

◆チェック①
自分の市場価値を正しく見積もれているか

戦略コンサルでそれなりのキャリアを積んだ人には釈迦に説法ですが、どれだけの経済的リスクを受け入れられるを推計するために、まず自身の市場価値を見積もりましょう。

例えば、戦略コンサルに出戻れば、年収2,000万円、フリーランスでがんばれば年商4,000万円、事業会社に転職できれば年収1,000万円と週休2日の人間らしい生活が手に入ります。

自分自身がいくら稼ぐ力があるのか、その気になればいつでも復職可能か、市場価値と転職市場における流動性は常に把握しておくべきです。

もしも、いまこの瞬間にどんなオプションが残されているか即答できなければ、直ちに検討するべきです。お一人で考えるのが難しければ、弊社の採用とは無関係にカジュアルにお話しましょう。

◆チェック②
スタートアップの将来価値を正しく見積もれているか

その気になれば自身がいくら稼げるのか、その経済的猶予を見積もれたら、次はリターンの見積りです。転職を検討しているスタートアップで獲得できるリターンがどの程度なのかをできるだけ精密に見積もりましょう。

そして、 Exit までに得られるリターンと万が一失敗してしまった際にそこから軌道修正するための経済的猶予を比べるのです。

スタートアップで得られるものは、ずばり、サラリー+キャピタルゲイン、仕事仲間、他では得難い事業経験、に集約されます。

サラリー+キャピタルゲインはExit成功確率を見積もる期待値計算です。ある程度以上は机上で計算して見積もることはコンサルのケイパビリティをもってすればさほど困難ではないでしょう。一方で、多くの場合、スタートアップの事業の移り変わりは激しく、仕事仲間や得られる経験は多くの場合いまこの瞬間、この会社でしか得られません。なので、その経験が将来的に自分にとって価値がありそうかを慎重に見極める必要があります。

転職を迷っている方であれば、内情をよく知る方に徹底的にヒアリングすることでその価値を推しはかれるでしょう。多くのスタートアップは、門戸を広く開いています。ぜひ気軽に話を聞きに行ってみてはいかがでしょうか。きっと歓迎されると思います。

◆実践的なリスクヘッジの方法

戦略コンサルであれば、現状フリーランスとして月単価数百万円以上の案件はいつでも獲得できるでしょう。フリーランスとして100%自分に責任がある状態での稼働に体力的・精神的に耐えられそうかは転職前に一度経験して損はないと思います。

私自身も、案件の組成~チーム組成・デリバリーを一周し、キャッシュフローもキャリアの流動性も全く問題ない状態を構築できそうな見通しを立ててから Ubie への参画を決めました。いつでもコンサルファームに出戻りできるという安心感に、さらに保険を掛けた形です。

転職を検討しはじめたら、一度思い切ってファームを離れて/有給消化をしながらフリーランスとして稼働してみると良いと思います。コンサルファームを離れるときは色々と言われるでしょうが、慢性的な人手不足なので、きっといつでも出戻り/転職できるはずです。

2. 本当に活躍できるか
~能力値やスタンスのズレを正しく見積り、修正する方法~

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◆チェック③
戦略コンサルの経験を活かすべき場面はどこか

さて、経済的に問題がなければ、あとは飛び込むのみです。そのとき本当に価値を発揮できるのはどんな場面でしょうか。

実はここが戦略コンサル転職者と受け入れ側で大きなギャップが生まれるポイントです。

戦略コンサルのキャリアで得られるスキルとして、課題の抽出と構造化、戦略や財務モデルの精緻な設計、伝える力、などがあります。

これらコンサルっぽい能力はすべてスタートアップのあらゆる場面で役に立つでしょう。意識的に組織に還元するべきです。

例えば、私はこんなケースを経験しました。クライアントにとあるソリューションを販売した際、あまりにも新規性が高く、最初は購買に否定的でした。そこで経済的価値を正しく訴求すべく財務モデルを精緻に設計し、クライアントの言葉に換言して提示することで納得いただきました。

このあたりは戦略コンサルの方であれば、当たり前のように実施していることなのでイメージしやすいと思います。

問題は “やりすぎ”てしまうケースです。

◆チェック④
戦略コンサルの経験を捨て去るべき場面はどこか

私自身も失敗しましたが、スタートアップのカオスの中で “考え過ぎてしまう”と大抵失敗します。

スタートアップでは、実際にアクションしてみないと仮説の精度がそれ以上高くならない、という場面にしばしば直面するからです。

コンサルの仕事では洗練されたフレームワークを上手く使いこなしたり、業界の最先端事例をベンチマークしたり、そのために業界有識者の意見を聞いたり、クライアントの社内資料をベースに仮説を立てたり……と、ある意味で過去のデータをもとに演繹をすることが多いです。

しかし、繰り返しになりますが、スタートアップは日々が未知への挑戦です。過去のデータだけでは正解に決して辿り着けないカオスな世界なのです。そんな世界では、自分の経験から仮説の精度を上げる努力をする一方で、即座に精度の限界を察知し、如何に早く前向きの検証に切り替えられるか、が重要です。よく分かってると思い込まずに、貪欲に現場の情報を収集すべきです。

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Biz とエンジニアのやりとり

要は「やってみなはれ」の精神ですね。考えるのが仕事の戦略コンサルに「考えるのをやめて、とりあえずやってみなさい」というのは中々にハードルの高いことだと思います。だからこそ、これにストレスを感じない方はスタートアップ適性があると言えるでしょう。

◆チェック⑤
不確実性で正解のないカオスな世界で馬鹿みたいな未来を信じ続けられるか

実際にも、仮説の精度が不十分だと感じる状態で製品をローンチしたり、クライアントと対話することはかなり怖いです。1年以上事業開発を経験したいまでもひやひやします。

それでも、自分たちが実現したい、一見馬鹿げた未来を信じ続けられるかどうかは、スタートアップ適合度を測るのに非常に重要です。

こればかりは体験する他に理解する方法がありません。簡単な方法としては、自分でクライアントに提唱した仮説を前向きに徹底的に検証してみることだと思います。

◆実践的なリスクヘッジの方法

コンサルは過去のデータを頼りに示唆を出すことが圧倒的に多いです。クライアントを納得させるのが簡単だからです。しかし、実際スタートアップで遭遇するのは、全くの未知。前向きの検証以外に意味はありません。「あの市場を獲るためにこんな製品を作って想定顧客はあの会社とこの会社になり業績は上向きになるはずだ」という仮説を作ったのなら、モックアップを作って顧客に「実際にこんな製品あったら買いますか?」「どこかおかしいところはないですか?」と徹底的にヒアリングすることで疑似的に体験できると思います。

通常の戦略コンサル案件はこうした検証はスコープ外なので、ここまで検証していることはほぼありません。プロジェクトの中で積極的に機会を見つけたり、実際に自分で新規コンセプトの物・サービスを売ってみたりする必要があると思います。しかしたったそれだけで、スタートアップのレベルの検証に近い経験ができます。私も、いま運営している会社の立ち上げ以前に、コンサル会社に勤めながら雑貨のサブスクビジネスを立ち上げようと思い、実際に顧客に営業をして検証していました。

働きながら隙間時間にできるくらいのクイックな検証で十分です。ことごとく否定される自身の仮説に向き合い続けられるか。それでも実現したい未来があるかどうか。スタートアップ適合度を測る良い試金石になるはずです。

まとめ

世間からビジネスエリートと言われる戦略コンサルですが、スタートアップ転職には必ずしも適正があるとは限りません。生活水準もほぼ確実に悪化します。

それでも、スタートアップに身を置き、より本質的な社会課題にチャレンジすることは、人生においてそれはそれは大きな意味を持つでしょう。

そんなスタートアップの世界に飛び込むべきかどうか、見極めるポイントは大きく3つです。

1)経済的な不安が払拭できているかどうか。
2)自分の経験を適切に捨て去れるかどうか。
3)自分の仮説を徹底的に否定され、それでも立ち向かうだけのやりたいことがそこにあるか。

これらを見極め、なおかつリスクをヘッジする実践的方法は大きく2つあります。要は「やってみなはれ」です。

1)経済的猶予の見積りを精緻にするため、実際に一人で稼いでみる
2)自分が作りこんだ仮説に対して、実際に前向きな検証をしてみる

最後に:誰かの発明に未来をゆだねるな!

Ubie では Biz Dev を絶賛採用中です。戦略コンサル出身者とのフィットがとても高い職種なので、ぜひぜひご応募ください。

もし弊社にご興味がない場合もきっとあなたの社会的価値をより発揮する場所があるはずです。懸念点を払拭したらぜひ思い切ってスタートアップ転職にチャレンジしてみてください。

あらゆるしがらみを振りほどき、真に取り組む価値のある課題に全力で向き合えるスタートアップという舞台へ。これからの時代を創り、次の世代へと紡いでいくのは、他の誰でもない私たちです。

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<UbieのBizDev採用情報>

<戦略コンサル出身のUbieメンバー>


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