ウサコ

初めまして、ウサコです。 書き留めたいこと、心に残ってる言葉、幸せな記憶を綴ります。

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ずっと信じていたい嘘

あの話をおじいちゃんがしてくれたのは、5歳位の時だっただろうか。 ママのおじいちゃんおばあちゃんの家は、お菓子の家にあるチョコのようなドアを開けると、左手側には2階に続く階段がある。その階段を登る途中にある出窓。私は妙にその出窓が気になり、「これなに?」とおじいちゃんに聞いたことがあった。 「おじいちゃんに会いにマツダセイコが来るんだよ。でもおじいちゃんはドアを開けないで、この窓を少しだけ開けて話すんだ。」 「•••(マツダセイコ)」 あれから約二十数年後、偶然か必然か

    • 新子さんと新札

      待ち合わせ40分前、必死に検索する。 「休日 新札 銀行 両替」 検索ワードについてまとめられたブログを読み漁るも、どれも最後は「予め新札は用意しておきましょう。」ばかり。 予め用意できなかったから、ブログを訪れているのじゃない、とブラウザを閉じた。仕方ない、駅に着いたら、最寄りの銀行に行ってひたすらお金をおろして新札チャレンジだ。 ジェーン・スーさんの『生きるとか死ぬとか父親とか』にも、お金を下ろすシーンがあったっけな。 一台のATMでどかっとお金をおろし、新札がでなけれ

      • アロハシャツを見ると、思い出すこと

        「あなたはもっと図々しくしていいよ。…」 数年前、私はアナウンススクールに通っていた。 その日の講義内容はフリートーク。 5人1組、スタートの合図の数秒前に先生の口から発表される即興のお題で話を進め、先生や聞き役の生徒たちから評価を受ける。 フリートークの出来はというと、私はあまり発言できず(フリートークなのに発言ってなんだ?)、進行役の人が質問を投げてくれた時に答えるくらい。 講義が終わり、エレベーターで先生と落ち合い、そのまま駅まで一緒に帰る格好になった。 講義の

        • 可愛いスピリット

          ママがちいかわのチロルチョコをくれた。 限定で特別なものだから、ちゃんと開封したくていまだに温めてある。 チロルチョコ。私が4、5歳の時のこと。 チロルチョコを食べると、私は決まって、銀紙と絵柄がプリントされた包み紙を分け、絵柄のだけを大事に取っておいた。 味ごとに一つのコスモス(kosmos)があり、ただの包装紙として終わることのないそれが、わたしは大好きだった。可愛くて好きだった。 仕事のおやつ調達場である個人経営の薬局には、チロルチョコが置いてある。たった23円のチ

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        ずっと信じていたい嘘

          不思議な喫茶店 

          銀座のとある老舗の喫茶店。 単価こそ高いけれど、コーヒーやケーキのみならずスタッフの方のホスピタリティや演出、空間までもが素晴らしく、つい足を伸ばしてしまう、お気に入りの場所だ。 ここ一年で何度と友達と訪れているのだけれど、毎回お決まりごとよろしくちょっと困ったことが私に起きる。 カフェラテとケーキの注文を済ませた束の間、私の携帯電話に、同じ人から仕事の電話がかかってくるのだ。 私がそこに行くと、その人が私に仕事の電話をかけてしまう磁力があるのかと思うほどに。 訳あって

          不思議な喫茶店 

          太陽のニオイを知っていること

          その昔、うさぎを飼っていた。 家で放し飼いにしていた。 うさぎの小屋のあるリビングはもちろん、私の部屋や畳の部屋、洗面所までくまなく点検をするのが日課。 一通りの任務が終わると、ベランダで過ごすのがお決まり。 私は部屋に戻ってきたうさぎに、顔を埋めるのが好きだった。 ふわふわでなめらかな毛は太陽の香りだから。 うさぎの体温に、お日様のあたたかさも相まって、幸せいっぱいの香り。 サザンオールスターズの「太陽は罪な奴」を聴いていて、 そう言えばうさぎが太陽のニオイを教えてく

          太陽のニオイを知っていること

          22時のマジック

          「ねえ、アイス食べたくね?」 居酒屋を一番に出た先輩は、後ろに続く私にこっそり言った。 飲み会終盤、お酒が飲めない私を気遣って、「なんかさみんなでデザート食べようよ」と先輩は提案してくれた。新入り君がメニューを開くもデザートは無し。ラストオーダーがかかり、隣の女の先輩が1本の瓶ビールを頼んだ。飲みたい人が空いたグラスに注いで飲む。そうこうしていると約束の90分をかなり超えていたようで、申し訳ないですと急いで荷物をまとめた私たち。 満席の店内。席から片道1車線で歩く。3階か

          22時のマジック

          カムバック小3の私

          きっかけは小3の担任の先生との出会い。 いつものように日記の宿題を出すと、描写を意識して書くともっと良くなるよと先生は言った。 宿題も、朝の1分間スピーチも、学芸会の劇の台本も、何もかもにおいてオリジナルを作ることを大事にしていた先生。 ビョーシャ。漢字でどう書くか分からなかったけれど、なんとなくそれがどういうものかは理解し、それからは起きた出来事を鮮明に伝えたくて、日記帳を開いては音や香り、雰囲気、感情の変化を呼び起こし、作家先生よろしく文章を書くようになった。 小生意

          カムバック小3の私