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いつかはいなくなる

「ねえ、みんなしんじゃうの?」
最近、4歳の娘がよく死についてきいてくる。
「パパも、ママも、みーちゃんも、ばあばも、オークワの人もみんなしんじゃうの?」
最後のオークワというのは、和歌山県のスーパーマーケットのチェーン店のことだ。
「そうだよ。生き物はみんないつかは死ぬんだよ」
たとえ県内最大手のスーパーマーケットの店員だったとしても、例外なく死から逃れることはできない。
「どうしてしぬの?」
「うーん、どうしてだろう。ずっと生きてたら飽きちゃうしつまらないからじゃない?それに、生まれた生き物がみんな死ななかったら、地球に生き物が増えすぎて場所が足りなくなっちゃうからじゃない?」
一生懸命考えながら答えてみるが、どうも我ながら「これだ」と思える返しにならない。少なくとも、自分が死のうとしている時にその答えをきいて納得するとは思えない。
4歳に生死観を問われるというのはなかなか難しい。

その日も、保育園のお迎えの帰りに車の中で同じ問答があり、そう答えたら、娘が泣き出した。
「パパとママが死ぬの、いやだ。ずっとこのままがいい」
私ももらい泣きしそうになって、「いやだね。ママもいやだよ。がんばって長生きするからね」としか言えなかった。
後から夫にそのことを話すと、
「嘘でもオレらは不老不死だっていうことにしておいたほうがいいんじゃないか」と深刻な顔をしていた。
そんな嘘はつかなくていいだろう。

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すべて未発表、noteのみのエッセイです。

シェアハウスでゆるく共同生活をしながら、人生のあれこれについて小声でお話しするようなマガジンです。 個人的なこと、「これはシェアしたほうが…

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