小説家に詩は書けないか

NHKラジオの番組、「飛ぶ教室」をいつも聴いている。
作家の高橋源一郎さんが「夜開く学校」と称して、前半はおすすめの本を紹介し、後半はゲストを呼んでインタビューをする構成になっていて、前半で紹介した本の著者がゲストになることも多い。
本の目利きである源一郎さんが選ぶ本は見事にハズれがなく(感性や思想的に近いところにいるせいもあると思うが)、「水の中の哲学者」、「プリズン・ブック・クラブ」「ペーパームービー」など、いい出会いがたくさんあった。

冒頭で、源一郎さんが自分で書いた短い文章を朗読する。
その日に取り上げる本に関連したテーマの文章だ。今日の番組内では、詩人の金子光晴の自伝を取り上げていたので、詩に関する文章だった。

「僕は詩が書けない。読むのは大好きなのに。一度書いてみたことがあるが、さんざんな出来だった」という趣旨のことを、源一郎さんは話していた。
正確な引用ではないかもしれないけれど、
「小説家に詩は書けないのだろうか。詩人から小説家に転向した人は何人もいるけど、その逆のルートは聞いたことがない。どうしてなのか。町田康さんや川上未映子さんは両方書いていたけれど、最近は詩からは遠ざかっているように思える」
という内容だった。

詩。
私も、以前は自分に詩は書けないと思っていた。
短歌や俳句も作れる気がしないなあ、ルールに則ってやるのが苦手だからか? でも自由律俳句とかもあるし、詩にしても現代詩はとても自由に書けるものなのに…
とぼやぼやと思いつつ、どれも作ってみようという気になったことがないまま年月が過ぎた。

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すべて未発表、noteのみのエッセイです。

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