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シンガポールの熱帯雨林の島 ウビン島

写真はシンガポールの島、ウビン島(Pulau Ubin)

シンガポールの島といえば、観光客で賑わうセントーサ島(ユニバ、カジノホテル、水族館、人工ビーチがある)が思い浮かびますが、ウビン島はチャンギ国際空港の北東側、マレーシアとの国境のジョホール水道に浮かぶ熱帯雨林の島です。

この島には観光施設からのキックバック(≒広告)がないため、書店に数多あるガイドブックを見ても、紹介されていません。

裏を返せば、観光客があまり訪れていない手つかずの島ともいえます。

チャンギビレッジから木製の床がきしむ小さな舟に乗ること10分、ウビン島へ。

舟の運賃はわずか3シンガポールドル、船内で支払います。

船の古さといい、船内で現金で支払うシステムといい、マリーナベイや所狭しと並ぶ金融街のある、あのシンガポールとは思えません。

熱帯雨林のウビン島内には公共交通機関の一切がありません。
船着き場の近くでマウンテンバイクをレンタル、あとは熱帯雨林の中を自由行動。

熱帯特有のスコールに怯えつつ、自転車で泥道を進みます。

第二次世界大戦において、日本陸軍はマレー半島を南下。
兵士の移動を高速化するために自転車を活用した銀輪作戦が行われました。
彼らはウビン島にも上陸しています。

シンガポール北部にあるマンダイレイクには、柵を極力排除したシンガポール動物園、夜の動物園ナイトサファリ、川をテーマにした動物園リバーサファリがあります。

それらが観光客向けの「人工的な動物園」であれば、一方のウビン島は「野生の動物園」です。

大きなトカゲ、猿、イノシシ、キタカササギサイチョウが生息しています。

マウンテンバイクでウビン島の熱帯雨林を抜け、島の東端にあるチェックジャワへ。

約200年前。イギリス人のトマス ラッフルズがシンガポールに上陸した際、シンガポール島の人口はわずか150人程度でした。

彼は、現マリーナベイの南側にあるフォートカニングの丘に、住居を構えました(現フォートカニングパーク内に住居が残っています)。

かつてその丘からはシンガポール海峡を見渡すことができました。その当時に描かれた絵画は、シンガポール国立博物館で見ることができます。

しかし現在、その丘からは金融街のビル群に阻まれ、洋上を望むことは叶いません。

ウビン島のチェックジャワの展望所から見渡す景色には、サンズカジノが建てた船のような形状をした近未来的な建物や、上半身ライオンで下半身が魚の像はない。

この1枚は「シンガポール旅行の写真」としては、面白みのない写真かもしれない。

しかし、約200年前にシンガポール島に住んでいたわずか150人の人々が日常的に見ていた(あるいはトマス ラッフルズが見た)景色を想像し、そこに重ね合わせてみると、何ともロマン溢れる景色ではありませんか。

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