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こまちの赤に会いたくて

念願だった秋田新幹線こまちに乗る時がやってきた。
いつだったのか忘れたけれど、たぶん東北への旅の日、東京駅であの赤いボディを見かけたときから、どうしても乗りたいと思ってきた。
秋田に思い入れがあるわけでもないから、行く理由も見当たらない。無理やりでも観光しようかと思ったり、いろいろと考えたけれど、ただ乗るだけの理由だっていいと自分に言い聞かせて今日を迎えたのだ。

朝早く家を出て東京駅に向かう。時間よりだいぶ早く新幹線ホームに行く。ワクワク。胸が高鳴る。早く来ないかなと、ウロウロキョロキョロせわしなく歩き回る。一緒に来ていた友達に、落ち着けやと諭される。本当だ。落ち着きなさいとよく子どもに言ったなと思い出したら笑えてしまった。

赤いボディが、ソロソロとホーンという音を響かせながら入線する。きたー。目の前に赤がいっぱいに広がっている。かわいい。ズキューンと胸をぶち抜かれ、持っていたホットコーヒーと落としそうになる。なんて素敵な赤なんだろう。真っ赤とも違う、少しピンクよりの柔らかめの紅色に近い赤。その赤い色が私の心を、ゆっくりホンワカと包み込んでいくようだった。

「行くよ」。友だちに促されて車内に乗り込む。内部は普通の新幹線と同じだった。席に座り、流れゆく車窓からの景色をぼんやり見つめながら考える。なぜあんなに赤のボディにこだわったのだろうか。元気になりたかったのかな。刺激がほしかったのかな。どちらにしても、いいじゃないか。今はただ、このときをかみしめよう。

㊟富士山で位置を知る~の記事へと続きます(^_^;)


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