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猛暑の日、優しい人に助けてもらった

サッと血の気が引いて、辺りが歪んだ。
駅に入る階段を降りようと下を向いたその時。
揺れているのは自分だと、すぐに気づいた。
手すりにつかまり、座り込んだ。
目を閉じて、必死で身体を支えながら、治まるのを待った。
無理だったのかもしれない。後悔していた。

帰ろう。そう思った時、声を掛けられた。
「大丈夫ですか?」。 高校生?制服姿の女の子だった。

いつもと違う朝だった。怠いし頭痛もする。
昼には出かける予定になっていた。不安になり、薬を飲む。
昨夜も少し怠さがあり、夕飯は軽く済ませた。
水分を多めにとり、いつもより早め、10時頃には床に就いた。
でも、夜中に何度も目が覚めて、熟睡できなかった。
朝食を食べて身支度を整えていると、何とか頭痛も治まってきた。

☆☆

梅雨明け直後の7月下旬の週末。午後1時。
最寄り駅まで20分の道のりを歩く。
日傘をさして、日陰を選んで、ゆっくりと。
それでも、じりじりと照りつける太陽、日差しは強烈で、何もかも突き抜けて、肌に容赦なく突き刺さるようだった。

☆☆☆

手を借りて、立ち上がる。
こんなところで、声をかけてくれるなんて。
人並みを止めるように、うずくまる邪魔な私に、迷惑だっただろうに。
「ありがとう、助かりました。もう大丈夫です」。
「そうですか。じゃ、気を付けて」。

優しさが、心に染みた。

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