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判ったぞ、あの女兵士の正体が! / 20240618tue(500字)


■ファミレス

カラン。
折り鶴をする手は止まった。
「こっち!」
リョウはふらふらで歩いてくる。
「来たね」
リョウは椅子に座ってセナを睨める。
「セナのノートは色んなことが書いてある」
リョウは銃声が聞こえる向かいのスーパーを指さす。
「あそこに現れる女兵士。セナが書いた」
セナはうなずく。
「ずいぶん前から共闘して、さっきのループで、やっと気付いた」
「ループ?」
ノートを開くセナをリョウは遮る。
「開くな! また新たな次元が開いちまう。おれにはもう手に追えない」
重々しい沈黙が降りた。まるで焼け野原のような。
「あの女兵士はこの物語とはまったく関係ない!」
リョウはテーブルを叩いた。
「セナノートは沢山の小説のメモ書きがある。あの女兵士はセナがノートに書いた別の小説のキャラだ。おれは女兵士の向かう先は知らないし知る必要もない。女兵士もおれらの世界に関心がない。向かうべき場所もちがう」
「あそこ! みて!」
セナの目が輝いた。
スーパーが爆発した。煙から女兵士が走ってきた。

短歌:

繋がらぬ
文脈つなげ
最後には
なんだかこれは
「重力の虹?」

解説:ここまで複雑ならいっそのことエンタメ版「重力の虹」(トマス・ピンチョン著)まで突っ走れ

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