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日々是短歌、ひりだす哉。

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素人俳句です。 手元に一冊「短歌研究2021年6月号」を持ち、それを頼り(ほとんどバイブル)に日々一首をひりだしていきます。
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#ジャズ

喋らぬ男とジャズ / 20240511sat(400字)

滞ったシーン: 雪山で橘田は崖から滑落してクマに襲われた男を目撃。 傷だらけの男をテントに連れて帰る。 男は手術をして助かる。 男は喋らない。 橘田は車内にジャズをかける。 「むかしむかし…… 」 橘田の語りは次第にジャズのように軽妙なアドリブになる。 「キサマら何者だ! 桃太郎は熊、盗人、大鷲を睨んだ。熊は逆に桃太郎さんに尋ねますが。あなたどこからどうやってこの世界に来たんで? あなた鬼を征伐するって言いますがあなたのその目で一度も見たことのない鬼ってのは悪者ですか? そ

1日が3時間に感じる。 20240413sat(394字)

一日が三時間に感じる。 二○一七年 京都にいた。 秋から春まで禅寺の寺男をやった。 三時半。真っ暗。廊下の濡れ拭き。足先は凍傷になった。 坐禅。読経。裏千家。軸。漢詩。初釜。 数年ぶりにフェイスブックを覗く。写真があった。 ネットに残る。時代だ。 当時は落語とジャズが僕の娯楽のすべてだった。 五畳間一万八千円。 風呂なし。トイレなし。 月初め。家主の家に、家賃を携える。 「君は若い」 「すぐに不惑です」 「私は八十過ぎだ」 「先日の山手の烏骨鶏はすごかったです」 「趣味だ。