モダン・タイムズ
私も、生まれたての人も、もう死んだ人も、
暮らすのは、悲哀に満ちた喜劇の中。
あなたも、コメディアンの一人として、
コントで今、医者を演じているのかも。
悲しみをパントマイムで伝えながら、
私はモダン・タイムズを生きている。
海には原子力空母、空には人工衛星。
私の隣にはシャイな女性。
出歩くのにうってつけな午後であっても、
間違って歩き出す死人はいない。
正義をかざし、罪を犯し、
私はモダン・タイムズを生きている。
一日中死に物狂いで働く人々よ、
困難ばかりの世の中で強くあれ。
労働者も、学生も、主婦も、
うつろう人生に翻弄されていく。
雨が降っていようと、日が照っていようと、
私はモダン・タイムズを生きている。
工場の大きな歯車が工員を飲み込んでも、
経営者が気にかけるのは機械の作業具合。
人間は一本の小さなねじ。
すり減れば、新しいのと交換されるだけ。
ラインを流れる同じ色の同じ部品。
私はモダン・タイムズを生きている。
健康な人と不健康な人に分けられ、
どちらでもない人は社会不適合者にされる。
怒りはデモで拡散するべきなのか、
暴力が死と破壊をもたらすとしても。
議論しつくしても定義できない、
私はモダン・タイムズを生きている。
成功しょうと、または失敗しようと、
そこがホテルだろうと、刑務所だろうと、
人生はコントで繋げた連続活劇、
ブラッド・ピット製作のパニック映画。
ゾンビの群れだろうと、宝の山だろうと、
私はモダン・タイムズを生きている。
浮浪少女役のポーレット・ゴダードに、
「共に行こう」と私は手を差し伸べる。
このあばら家を私たちの家にしよう、
一人でいるよりも、きっと楽しいはずさ。
眠る時間を削って必死に働く人にとって、
資本主義も共産主義もただの言葉。
不寛容さを隠すその魔法のことばは、
チャンスをより多く増やすわけではない。
それでも肉を食い、ワインを飲み、
私はモダン・タイムズを生きている。
私は大切な女性とデートに出かけ、
目隠ししてローラースケートを滑る。
子供顔負けの熱心さで彼女を笑わせる。
彼女の笑顔のためなら、私は何だってする。
どん底であろうと、絶頂であろうと、
私はモダン・タイムズを生きている。