きみへ

お久しぶりにお手紙を書いてみようと思う。生活は、日常は、大切なものを見失ってしまうほど忙しなく過ぎ、目眩しだけれど夢中にさせられるものだ。だから、私も余計な事柄に散々巻き込まれて思ったように時間が取れない。あんまり長い文章を書けないかもしれない。そうやって大人になってくことが悔しいけれど、たまには当たり前に逆らってみようと思う。本当はもっとたくさん言いたいことが、伝えたいことが、言葉にならない想いがあるんだけれど、渡せないんだってことをちょっとでも分かって読んでほしい。

この前、ちょっと驚かせてしまうような突発的な連絡をして、それからすぐに会ってくれてありがとう。運命なんてないんだ、神様なんていないんだって思うけれど、困ったとき助けてくれる人が確かに居たっていう事実は私をこれからも支え続けてくれるでしょう。私の人生がこれからどうなるのか、期待もたくさんあるけれど不安がとても大きい。でも、どんなに悲しいことがあろうと、どんな形で終わりを迎えようと、あなたが助けてくれたことは私の人生の誇りであり続けるでしょう。

私の人生が私のものだけじゃないことを、この短期間で何回も認識させられた。きみが、私が急にいなくなってしまうんじゃないかと思って不安になる、って言ってくれたよね。私は、自分の力を全部使って、できる限り生きることを選び続けるから大丈夫。どんな場面でも、どんな状態でも、生きることを選び続けたいって今は本当に思っている。安心してね。また何回でも会おう。

自分に言い聞かせるように、とにかく、これからもきっと大丈夫、って考えている。私は、これからも現実を一歩でも良くしよう。この辛くて、悲しくて、理不尽で、いつも傷つけられるこの現実を、見たくないものがたくさん転がっているこの世界を、一歩でも良くしよう。途中で何万歩も、いやもっと下がってしまうこともあるでしょう。私の力が及ばないことの方がずっとずっと多いでしょう。でも、今ある命が輝くように、どの命も大切にされるように、人類が争わない未来に一筋の希望を見出せるように、歩いて行きたい。

きみと会って、話して、私は全然変わってなかったんだ、っていい意味で安心したよ。きみが言ってくれた「恋をすることは恥ずかしいことじゃない」って言葉に、今まで背負ってきた呪縛が急に解けた。たぶん、解こうとしてくれる言葉や人には今までたくさん出会ってきたんだけれど、なぜか効かなかった。でもあの日のあなたの言葉になぜか、救われた。これからも溺れそうになることがあるだろうけれど、今までよりずっと簡単に沖へ泳ごうとできるだろうし、溺れるとしても違う種類の沼にだろうなって思う。きみが一歩、私の世界を良くしてくれたんだね。

いつもありがとう。言えてないこと、言ってないこと、お互いにまだたくさんあるかもしれないね。心の全部は見せ合えないし、人間はお腹が満たされていてもずっと寂しいものなんだね。孤独と闘わないで、寄り添って、そして一人ひとり寂しいけれど全員がお腹を満たして笑い合えるように、これからもっと頑張るよ。きみも、きみなりの方法で寂しさと生きて。私もそうする。そして、きみなりの方法で今の私を記憶に留めておいてほしい。私がこれから前に歩いて行っても、後ろに下がってしまっても、どこか違う場所へ行っても、私の生きていたことがきみの中に在る、ってことが私が生きることを支えてくれる。どんな状況でも、運命は信じないで、希望を持てる方に進むよ。人間、半端でも、嘘ばかりでも、情けなくても、いいじゃない。私は私のことが好きだし、私はあなたのことが好きだよ。生きていることを大事にしたいよ。
人生は短いけれど、私たちの人生はやっぱりこれからまだまだ続くんだよ。自分を大事にしていこうね。
それじゃあ、また。

愛を込めて

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