「らしさ」とはどうやって見つけるのか【ロゴデザインメイキング】
「らしさ」とはなんでしょうか
デザインをする際、僕は、必死に対象の「らしさ」を捉えていきます。
簡単につかめることもあれば
とても時間がかかることもあります。
田中みっちさんより「Michi-lu」という新ブランドのパッケージとロゴのデザインを委託いただきました。
基本的には、「高級感」のある、「ヨーロピアンクラシック」デザイン
最初に扱う商品は「アロマキャンドル」だそうです
本記事では僕がデザインの時に重要視している「らしさ」からアイデアを広げていく、という方法を掘り下げてみたいと思います
デザインを委託する際の参考にしたり、デザインのプロセスを楽しんでいただいてもいいですし
アイデアがでない!という方も何かしら、参考になることがあればと思います。
(少なくとも、独学でデザインをやっている、しがなきデザイナーのデザインプロセスなので楽しむ程度にお願いします。)
「らしさ」を掴む
繰り返しますが、デザインに大事なのは「らしさ」を捉えること
(デザインじゃなくても)
斬新であることよりも、美しくあることよりも、まずらしくあること
陽気な人に、美しいからといって、シックな服を着させてもなんの意味もないのです。
見るものではなく、会話するもの
見た目はいいけど、喋り始めたら全然違った、ではだめです。
だから、人格・性格を先にまとめてから、コーディーネートする必要があります。
僕はデザインをするとき、「その人の子供を預かってコーディネートする」ような感じで仕上げていきます。
そのためにはまず、コーディネートする前に、生みの親であるクライアントに、たくさん話を聞きます。
この子はどんな性格なんですか?どんな人と仲良くなりますか?どうなりたがってますか?
そうやって、聴き込んで、情報にまとめます
自分の場合はこんな感じ
(これら資料は、依頼者に許可をいただいて、掲載しております)
ここからやっと見た目を考える
デザイナーは割と「見た目を整える職業」だと思われがちですが
これは勘違いです。
上記のように、「思い」をまず捉えることから始まり、仕事の大半はそこに注ぎ込みます。
なので、皆さんもデザイナーにデザインを委託したいときは、なるべく企画の初期段階で参加してもらうのがいいです。(デザイナーによりますが)
ほとんど出来上がった企画を「あとは見た目を整えてください」と言われて渡されても難しいのです。
それでもし中身がダメなら、必ず、見た目もダメになります
中身作りもデザイナーに参加してもらいましょう。
いい中身が作れたら、見た目作りです。
見た目作りは、いろんなアプローチがありますが、僕はまず、ラクガキをします。
ラクガキです、考えることなく、ひたすらラクガキです
(アイデアを出すときは、考える作業と考えない作業を交互に繰り返していくといいなと思います。)
ある日の小学校でも授業を聞かずに、ノートの端をラクガキで埋めていた僕ですが、今になって役に立っております。
とにかくありえないと思う見た目もたくさん書き出して、ここでもらしさを模索していきます。
一方的にならない
良いデザイナーは、新しい「らしさ」を発見してくれる存在です。(自分がそうなれているかは置いておいて)
でもだからと言って、デザイナーの捉えた「らしさ」を押し付けることはいけません。
クライアントの思う「らしさ」デザイナーの思う「らしさ」(その中に消費者の思う「らしさ」も)
これらを重ね合わせて、「デザイン」は成立します。
デザイナーは大体「正しいこと」を知っています。でも相手は人ですから、それを押し付けてしまうのはNGです、ここが一番難しいところだったりもします。
(これはどの仕事にも言えることです、例えば医者とか、あと子育てとか!)
一方的にならないために、僕がやることは「話に耳を傾けること」「一緒にときめくこと」「選択肢をつくること」
でしょうか。
今回は、色々と浮かんできたので、5パターン制作しました。
(基本は3パターンですが、浮かんできた場合は、増やします)
A,Bは「満ちる」というイメージから月の満ち欠けを連想したので、月に乗っかる「M」の文字をイメージ
Cはナチュラル要素を強めたイメージ
Dは「パワーが満ちる」という感じを込めました
Eはキャンドル(メイン商品)の火をイメージしたデザイン
というように、選択肢を提示します。一緒に可能性を模索して、吟味することで、クライアント側もアイデアに愛情を持ってもらえたらいいなと思いながら
デザイナーによって違いはあれど、このようにして、デザインは出来上がっていきます
最終的に採用されたのは「B」の案でした。
とても気に入っていただき、僕も気に入ってます。
一番の悩み
あまりこういうことを言うものでもないですが、デザインする上での一番の悩みは「とりあえず作って案件」です
上記で書いたようにデザイナーを「見た目を整える職業」だと思っていると仕方のないことかもしれませんが。
とりあえず、なんとなく、デザインできていれば良いと言う、仕事はとても扱いづらいです
(安価で請け負ってる、僕だけの悩みかもしれません。)
デザインそのものが目的になってしまってる感じです。
そういう現場で、プレゼン資料などを出すと、ひかれたりします。
牛丼屋に行ったのに、黒毛和牛ステーキが出てきたみたいな反応をされます。
僕の仕事が上等なものだと言いたいわけではなく。
とにかくデザインという仕事が勘違いされているのです。
(「あんまり考えんくて良いよ」と言われたり)
せっかくデザインするなら、可能性を最大限まで引き出すこと、想像を超えること、こういったことに一緒にときめいてくれることが、大きなやりがいにつながります。
(新しい大きな可能性を引き出すには、自分はまだ未熟ですが)
デザインだけでなく、デザイナーとクライアントも「らしさ」を失わず取り組めること。
それが最も理想的なデザインの形かもしれません。
もちろん、僕がクライアントにそれを求めるわけではなく、そうなれるように、実績、信頼などを積み重ねられたらなと、日々思っております。
そんな自分にとって、今回の案件はとても、嬉しい案件でした。
過去のデザインを見て、頼みたいを言っていただける方も増えてきました
とても良い形で、仕事ができて、嬉しく思います。
(その分、難しさも感じていますが)
素敵なご依頼をいただき、ありがとうございました。
ここまで読んでいただいた方々もありがとうございます。
独学でまだ、未熟ですが
是非、HPなども覗いてみて、なにか感じる物があれば、お気軽にご相談ください。
https://website-a.wixsite.com/aoirodesign
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