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負社員

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#会社員

負社員 第67話 仕事とプライベートとどっちが大事だと思ってると思ってるんですか

「参加してどうするというのだ」時中が訊き返す。 「仕事上の愚痴をこぼし合うのでしょうか」…

負社員 第66話 被雇用者負けるな弊社ここにあり

「いや、それ完全に嫌がらせですよね」低い声がぼそぼそと言う。 「まただわ」磯田社長が自分…

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負社員 第65話 お前がストレスに思うのは放置ですか、それとも凝視ですか

「咲ちゃん」茫然と、木之花を呼ぶ。 「――はい」木之花は何かを察知した様子で、慎重に答え…

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負社員 第64話 つべこべ言ってると、取り締まっちゃうぞ

「鯰」鹿島は反射的に池の傍で膝を曲げ、その次の瞬間には自らも池の中に頭から飛び込んでいた…

負社員 第63話 残業要請拒絶は逆パワハラになるのでしょうか

「田中さんと連絡ついた?」磯田はスマホに向かって叫ぶように訊く。「ええ? もう帰ってる?…

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負社員 第62話 草食の俺達はここまで来て死ぬるるん

「のんびりと過ごしていた」新人たちが言葉を失っている間に、その声は言葉を繰り返した。 「…

負社員 第61話 敬語を使え、棒読みでもいいから

「出現物っていうのは」地球が答えた。「要するに、化合物だよ」 「化合物?」鯰が甲高い声で繰り返す。 「そう。水素とか窒素とか酸素とかが、鉱物のイオンとくっついたり離れたり、酸化還元してできたもの」 「それが、あたしをあの洞窟まで引きずり出したっていうわけ?」 「結果として、そういうことなんだろうね」 「なんでそんなことができちゃうの? あいつら、生き物なの?」 「うーん」地球は答えにくそうだった。「生物ではないけど、出現物なんだよね」 「生きてないの?」 「人間と同じようには

負社員 第60話 ダメダメになっていく過程

「これ」酒林が唸るように呟く。「どうなってんだ」 「ああ」天津も苦悩の声で返す。「きりが…

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負社員 第59話 帰りにくい職場には行きたくない

「え」結城が、洞窟内に出現した黒いものを指差して問う。「クーたん、さん?」 「違います」…

負社員 第58話 人という字は互いに支え持ち上げフォローし信用し腹を割り拒絶し合っ…

「ん?」磯田はふと顔を上げ、窓の外を見た。 「どうかしましたか?」伊勢が直ぐに反応する。…

負社員 第57話 昔はそんな罵詈雑言もあったねえ今じゃ省略形で罵られる有様だよ

「誰ですか?」結城が顔を上に向けて訊ねた。 「誰だ」野太い声はもう一度問いかけてきた。 …

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負社員 第56話 潤っていますかあなたの心と肌そして地球深部

 自分はあまり、この仕事に向いていないのかも知れないな――そんなことを、たまに思う。そし…

負社員 第55話 押して駄目なら引いてみな、引いても駄目なら落としちゃえ

「開かない?」天津が厳しい表情で問う。「どういう事?」 「何か、邪魔が入ってる感じだな」…

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負社員 第54話 持てる全ての力を出し切って考えに考えに考えた結果出した答えはいつも最初の直感のやつ

「おっ、来た来た」結城が背伸びをし、額の上に手をかざす。  来たのは、恵比寿の言っていた“神舟”と思しき物体だった。  舟、という名称のついたものではあるが、その形態からは「舟」と呼んでいいものとは到底思えなかった。  それははじめ小さな綿の塊のように見えた。暗闇の彼方にふわりと白い光が生まれ、音も無く暗闇の中みるみる近づいて来たのだ。最終的に三人の目の前で停止したそれは、白く眩く光輝く、巨大な独楽のように見えた。高さは五メートルを超え、地面(があるとすればだが)に接し