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魔法野菜キャビッチ3 キャビッチと伝説の魔女

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ポピーは魔法の世界に住む少女。その世界では「キャビッチ」という、神から与えられた野菜で魔法を使う――「食べる」「投げる」「煮る」「融合」など。 13歳になったポピーは、新たに「シ…
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2019年7月の記事一覧

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 31

「どうしたの?」祖母が手をとめて、ふしぎそうにきく。

「おばあちゃん、ここだいじょうぶなのかな」私は肩ごしに振り向いてきいた。「アポピス類たち、襲ってこないかな」

「ああ」祖母は軽くうなずいた。「だいじょうぶよ。心配しなくても家がちゃんと守ってくれるわ」

「え」私は目をまるくした。「家が?」

「ええ」祖母は自信たっぷりに大きくうなずいた。「この家は、すべてツィックルの木でできているから、鬼

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 30

「でもそんなある日、私は聞いてしまったの」ハピアンフェルは話をつづけた。「アポピス類たちが『妖精にユエホワを探させて、さらってこよう』と話しているのを」

「まあ」祖母も、

「なんだって」父も、

「ユエホワを?」私も、おどろいた。

「人をさらうなんて、私はどうしてもいやだと思った」ハピアンフェルは首を横にふった。「それでその日私は逃げ出して、聖堂の屋根のところにいたの」ハピアンフェルは話した

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 29

「うふふ」祖母と妖精はたがいに顔を見あわせ、おかしそうに肩をすくめて笑った。「そうよ、二人とも当時は自分の名前のみじかさに不満を持っていて、それで自分たちできれいで長い名前をつけて呼びあっていたの」祖母が説明する。

「へえ」父は、理解はしたけど意味がわからなさそうな顔と声で返事した。

 けれど私は、ものすごくよくわかった。

「すてき!」なので私は、両手を組みあわせてさけんだ。「いいなあ、そん

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 28

「おばあちゃん」私はぼう然と呼んだ。「どうしてここにいるの?」

「あなたたちがうちの上を通り過ぎて行ったから、追いかけてきたのよ」祖母は答えながら、梢近くで翼をゆっくり羽ばたかせているラクナドン類に近づいていった。

「あ、危ないよ」私は思わず手をさしのべた。

「あなた、この子を乗せてちょうだい」祖母はかまわず、ラクナドン類の背中の上に箒ごと乗りあげ、完全に気をうしなって祖母にくったりともたれ

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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 27

「ああユエホワ、ごめんごめん」父は陽気な声で鬼魔に謝った。「ちょっと学校のみんなに、あの妖精から身を守るための魔法を教えてきたから、遅くなってしまったよ」

「身を守る魔法?」ユエホワは片ひざを立てたまま、眉をひそめた。「何の?」

「うん、簡単なマハドゥと、エアリイをね」父は答えた。

「うわ」ユエホワは目をぎゅっとつむって横を向いた。「またよけいなことを」

「もう学校へは来ない方がいいよ」私

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