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2人の経営者へ捧ぐ①

父よ

誠実で忍耐強く、優しく強く、人格者だったあなた

娘である私を愛し守ってくれたあなた

神童と呼ばれ弁護士になりたかったあなたが、発展家の祖父の商売の失敗から、長男であるが故に志しを断念して勤め人になり

弟たちと親を支援し続けたあなた

自分でも行けたであろう東大に行った叔父が尊敬するあんちゃん

実の母親が耐えきれず出ていった時、自分だって7歳の子どもだったのに、それからずっと長男として覚悟して生きてきたのは辛かったよね

16歳で終戦を迎えたあなたが、当時は戦争で死ぬ覚悟をしていた、という事を話してくれた時、自己主張したい盛りの思春期の私には計り知れない戦争への恐怖や過酷さを知らしめてくれたよ


役員から起業しても尚、親の都合を押し付ける事無く家族を守り娘達を変わらず愛してくれた父

一度も怒られた事も無く、いつも寄り添ってくれたから、頼ってばかりでごめんね

だけど、文句もあるよ

もっとわがままに、自分の人生を生きて欲しかった

会社だって社長なんだから、社長の役割以外はやる必要ないよ

むしろやっちゃいけないと思うよ

自分のように誠実で思いやりがある人ばかりじゃない

他人は自分勝手で自分都合で生きているんだから、その人達の家族まで責任を取る覚悟は、自分がすべてを背負い込むのが最適解とは私は思わない

その人達がやるべき事を見極め割り振る事を示して会社を発展させるのが、従業員の幸せに繋がるんだから

社長の役割だけに邁進しなきゃいけなかったと思うよ

家族にだって、もっとわがままに自分の要望を主張しても良かったよ

あなたの愛情は充分過ぎるほどわかっているから、きっとみんな尊重したし協力したよ

しかも娘達にはちょっと困った影響もある

男性を見る時、あなたを基準にするから、余計な失望をしたりするんだよ

上の姉はあなたの聡明さを、下の姉はあなたの誠実さを、私はあなたの優しさを旦那さんに感じたけれど

あなたのすべてを持ち合わせた男性はいないから、違いをなかなか受け入れられないんだからね

だけど、葬儀の規模の大きさや業界誌に載った時、やはり偉大で尊敬できる父である事を誇りに思ったよ

愛してくれて、ありがとう

守ってくれて、ありがとう

尊敬できる父で、ありがとう

私も愛しています


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