ヤング日記【3】大衆演劇の魅力とは?
そもそも「大衆演劇」とは?
ざっくり言うと、娯楽性を重視した演劇のことで、剣劇、軽演劇、レビュー、ミュージカルが当てはまると言われてます。(実はストリップも)
しかし現在では、全国各地にある専用劇場で劇団員一向が時代劇を主とした公演を行うことを指すことがほとんどで、ヤングセンターもこの専用劇場だったそう。
そのヤングセンターにあったステンドグラスの一枚が、現在別府北浜にある山田別荘さんに設置されています。
そのステンドグラスと、別府トキハのぶらり劇場で大衆演劇を観にいくというツアーを
『大分大衆演劇小旅行』と題して開催しました。
「ヤングセンター ステンドグラス補完計画」の最初のイベントになりました。(名前が長いので今後はヤンプロと表記します笑)
ほとんどの人は大衆演劇という名前から、歌舞伎のような伝統的なもの、もっと年配の方が行くもの、映画のように気軽に足を運べるようなものではない、といったイメージがあると思います。
実際、私もこの企画がなければ一生観に行かなかっただろうな。
企画当日は山田別荘に集合し、まずは簡単に自己紹介。
参加者は実行委員も含めて18名。何より驚いたのが、10代から80代まで幅広い年代の方が参加してくださったこと。これだけ色んな世代の人が集まって観劇することは本当に珍しいことだったと思います。
今回見た劇団さんは、橘劇団さん。昭和38年ごろに設立された劇団で、今人気の劇団のうちの一つ。3代目座長の橘大五郎さんは、「大衆演劇界のニューヒーロー天才女形」の通称で知られているそうです。
実際に公演を観て、演技力、舞踊、衣装、役者さんの表情、仕草全てにおいて、とにかく圧倒されました。私は今まで劇団四季や宝塚などのミュージカルや、歌舞伎などの伝統芸能を何回か観に行ったことがありますが、今まで観てきたものとは全く違ってとても新鮮でした。
お芝居は笑いあり、涙ありでとても面白かったし、若者や初めて観る人にとってもわかりやすい内容でした。舞踊は衣装やウィッグがカラフルで、演歌から最近のJ-POPまで様々な曲が使われていて、まるでライブに来ているような感じがしました。何より男性の役者さんが女形を演じても全く違和感がなく、3時間の公演の間ずっと見惚れっぱなし。
このクオリティで毎日違う演目を観ることができるのは本当にすごいと思います。一ヶ月皆勤賞のお客さんがいると聞きましたが、それも納得できます。
一番印象に残っていることは、
「役者さんとの距離がとても近い」ことです。
前から二列目の席で観れたということもあり、役者さんたちの演技をすぐ目の前で観ることができ、表情や仕草の一つ一つに魂が込められているように感じられました。観客一人一人に目線を配り、何かメッセージを伝えようとしているようにも見えたし、それはもう「今、自分と目が合ったのでは?」と錯覚してしまうほど。(観劇後の交流会でもみんなそう言っていた)
舞踊の途中、お客さんがお札を贔屓(ひいき)の役者さんの着物の襟元につけて渡している光景を始めて見ることができました。
大衆演劇では好きな役者さんにお捻りを渡す文化があり、これを「お花をつける」と呼ぶそう。
単純に面白い文化だなと思ったし、直接気に入った役者さんを応援し、個人として認識してもらえることは、ファンにとってはとても嬉しいはずです。とにかく距離が近い。
そして、座長さんをはじめとする役者さんたちの細かい気遣いにもとても驚きました。座長さんが舞台挨拶の時に、実行委員が着ていたヤングセンターのTシャツに気づいてツッコミを入れてくれたり、観劇後に役者さんのSNSをフォローするとすぐにフォローバックしてくださいました。
さらに、見えにくい席のお客さんには公演中に声をかけてあげていたりと、実際に座席に立って確認しているからこそ出来る気遣いだと思いました。
生で観るからこそ、そうしたファンとのコミュニケーションに気付くことができたのです。物理的な意味だけでなく心理的にも距離が近いのが、大衆演劇の魅力だと感じました。
観劇後の参加者交流会では、みんな口を揃えて
「なんでもっと早く観に行かなかったんだろう」
と言っていたのを覚えています。
こんなに面白く非日常な体験が、2000円払えばできてしまう。
気軽に通える雰囲気だったし、若い世代のお客さんも少なくはなかったのに、実際に観に行ったことがある人は私の周りにはほとんどいません。
なぜこんなにも面白いコンテンツが届いていないのか?
幾つか理由はあると思いますが、一つは「露出や情報が少ない」ということなのかなと考えました。
劇団のホームページや役者さんのSNSなど、全く露出がないわけではないですが、WEBサイトの作りなどを見ても「古い時代のもの」という固定概念から抜け出せていないようにも感じられました。
でも一方で、それが大衆演劇の魅力である「距離の近さ」に繋がっているとも思うのです。
限定された地域だけでの公演、知る人ぞ知るスター、手を伸ばせば届きそうな距離、マイナーであることで、むしろ希少価値が高まりコアなファンが応援する。それこそ「会いにいけるアイドル」というコンセプトで秋葉原の専用小劇場でのライブ活動が中心だった初期のAKB48は、大衆演劇のビジネスモデルから発想を得ているようにも思えます。
実際に生で見て、大衆演劇はもっと幅広い世代に観てもらうべきエンターテインメントだと感じました。
役者さんとファンとのふれあい、会場の一体感は、ライブで観るからこそ感じることのできる魅力であり、それは現代の私たちの生活の中で失われつつある「人情」が生きている空間にも思えました。
舞台上での演技はもちろんのこと、それ以外の舞台裏や役者さんの気遣いにもフォーカスしたコンテンツがあったら面白そうだし、
むしろその「距離の近さ」を発信していくことこそが、この時代だからこそ響く大衆演劇を広める方法なのかもしれない。
ヤンプロを広めるためのヒントも「距離の近さ」にあったりするのだろうか?そんなことを考えさせられたイベントでした。
今回ご協力いただいた山田別荘さん、味ダイニングみやこさん、橘劇団さん、参加してくださった皆様ありがとうございました。
大衆演劇小旅行 当日の様子はこちら↓
次回のnoteでは、今BEPPU PROMOTIONのインスタグラムで公開中の「Young Question」について紹介します!お楽しみに。
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