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No.437 うるう日は何のため

2020年は閏年。一日だけ多い。小学生の頃、友達が自分のお兄ちゃんの誕生日は2月29日だと言っていて、閏年以外はいつが誕生日になるんだろうと話したことを思い出す。

地球は1日で1周していて、それが24時間。1年で太陽の周りをぐるりと1周していて、それが365日。ただぴったり時間が当てはまるわけではなくズレがあるから、4年に1度は閏年として一日多くなる。これでもまだズレがあるから、100年単位だと閏年にはならないらしい。1800年は1900年は4で割り切れるけど閏年じゃない。でも400で割り切れる年は閏年。2000年は閏年だ。ややこしい。

今月発売のコラム記事を書くのに調べた。たぶん初めて閏年を認識した子どもの頃にも同じような話を聞いていたはずで、そのときは妙にわくわくした。そして、今の私も、閏年について調べてながら同じようにわくわくした。わくわくの正体は「神秘的」だ。

地球や宇宙の構造を解き明かして、それで数字として当てはめたわけだけど、どうしてもぴったりにはならない。ズレを埋める必要がある。宇宙や生命が決して数字だけで当てはめられないのだ、という感覚を神秘的だと感じたのだった。

でも、生命を数字に当てはめられない、というのもきっと違う。「世界は数字で構成されている」という言葉を聞いたことがある。たぶん映画か、本かで。じゃあ数字に当てはめた時間があるのに、閏年のようなズレが生じるのは矛盾していない?いや、違う。

いろんな出来事に、私たち人間がこれまで導いてきた数字に当てはめているだけで、導き出されていない数字は数え切れないほどある。だから私たちがわからないだけで、ありとあらゆることは数字で構成されている。あくまで今わかっている人間が導き出した数字のルールを当てはめている。

生命は数字に当てはめられない、ではなくて、生命は人間が定めた数字のルールには当てはめられない、かな。

それでも人間が導き出してきたルールでズレを小さくすることはできる。それはたぶん人類の進歩だよね。そうやって知ることで、導き出すことで、人間は前に進んできた。

きっと今日は前に進むために、一日多く与えられた日なんだと思う。不安な出来事が収束するよう、前に進む貴重な一日となりますように。


2020年2月29日(土)

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