戦場で、素直じゃない君と #シロクマ文芸部
「誕生日に欲しいのはあなただけ」
節をつけて言うと変顔された。
「なにその顔」
「あててみろ」
変顔のままさらに白目を剥いた。
「…訳、お前はマライアキャリーより可愛い」
「そう見えんなら眼科か脳外科行ったほうがいいぜ」
白目のままぶっと吹き出して、そっぽを向く。
「なんだよ無理しなくていいのにぃ」
「俺の辞書に無理という言葉はねえんだわ」
「言うと思いました」
ふと口をつぐむ。君のいない孤独は、20億光年より重かった。
「おかえり」
笑って言ったつもりなのに、僕の頬をぼろぼろ涙が伝っていた。
「…ただいま」
小さな声を落として、君は横顔に満たない角度で、牙を剥くように笑う。
僕らは前途を睨み据え、それぞれの方向へ飛び立つ。
お題:お題に合わせて無理やり捩じ込んだ「誕生日」
誕生日を 平和な日常で 祝えますように
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