流れるように
「空」
久しぶりにバカボンド(井上雄彦先生の)を読んで(余談ですが原作の吉川英治先生の宮本武蔵も大好きでした。笑)、35巻がね、特に、ヨガ哲学につながっているようで、たぶん仏教の考え方なんだけどやっぱり似ているので。
空っぽで満たされるとか、水のようにとか。そんな表現があって、、、、、、。
なんだか、これは、もう、私に誰かが書けと言っているのかと思って(大げさ)。笑
そこから、水というと、老子の「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」という言葉があって、これはなんだか最近、私のテーマなのかというくらい、同じような情報が違う言葉で届いてくる。
「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」
一番いいものは水だということなんですが、これがなぜかというと、
老子の言葉では、こう。
「水はあらゆるものに恵を与えながら、争うことがなく、
誰もがみな厭(いや)だと思う低いところに落ち着く。
だから道に近いのだ。
水は世の中でもっとも柔らかいものが、世の中でもっとも固いものを突き動かす。
形のないものがすき間のないところに入っていく。」
昔読んだときはわけがわからなかったのですが、今はすごく腑に落ちる。
水は流れ続ける。
いろんなものに形を変えて柔軟で。
私たちの体のほとんど柔らかい水でできている。
そう考えると、体は本来柔らかく、頭も柔らかいのが、一番いい状態といえるのではないだろうか。
動的平衡
少し話を挟むと、最近、生物学者の福岡伸一先生(生物と無生物のあいだ)の動的平衡という言葉が話題に出て(こんな話題謎に違いない。笑)、生物は、実は破壊と創造を身体の中で常に同時に進めながら、平衡状態(今の姿)を保っているそうだ。
ものすごい量の破壊を身体の中で起こして、それと同時に新しいものに置き換え続けている。
この動的平衡を滞りなく行うためには、どうやら体と心をよどみなく水のように流すことが大切で、そのためにヨガは役に立つのではないのかな、ということが、私の中に浸透しつつある。
心も身体も、健康な状態とは、水のようにエネルギーがよどみなく流れている状態だとしたら、心と体を柔らかく、エネルギーが流れやすいように整える必要があって、それを手伝えるんじゃないのかな、と。
ヨガは外から見ると体を整える要素が多いように感じられると思うが、最終的には心を穏やかな状態に整えるということを目的にしている。
穏やかであるとは柔らかいこと。
柔らかいということは、特別な思い込みや執着が頭にないことにつながっていく。
執着
執着があると、水のように心を流すことができず、穏やかな状態に至ることができない。
(執着を手放せという言葉が何度も出てくるのが、ヨガ哲学であり、仏教である)
私たちは自分がこういうものだと思い込み、過去も未来も自分のもののように大切に抱えている。
けれども、私は、今にしか、生きていない。
どんな過去も、未来も、今には存在していない。
存在しているとしたらそれは頭の中にあるだけで、その時間が目の前にあるわけではない。
私にあるのは今、この瞬間だけ。
今に生きているとき、私にあるものは何か。
今にあるもの
楽しいことに没頭しているとき、思考は過去にも未来にもなく今にある。
その瞬間、実はとても元気で幸せであることに気づかないだろうか。
どんな過去を持っていようとどんな未来を思い描いていようと、そしてそれらが全部なくても、自分は元気でいられるという気づき。
それが、私たちには必要なのではないだろうか。
実は体の細胞も半年後にはすべて入れ替わっているのだそう。
そうすると、何事にもしがみつく必要はないのではないのかな、と思う。
何事にも対立する必要なないのではないかな、と思う。
思い出したくないことがあったら、思い出す必要もないと思う。
過去にエネルギーをかけなくていい。
思い出したときには、ただ、水のように、受け止めるだけ、辛かったなって。
そして、また流れていく。
時間も体もエネルギーも常に動き続けているから。
未来が不安だったら、周りを見たらいい。
自分は一人で生きているわけではなくて、周囲の関係性で生かされている。
一人だと思うから、不安になるのではないかと思う。
そこにはつながりがある。
そのつながりも流れながら、自分を生かし、そして自分もそのつながりのために生きている。
それを全うするだけ。
自分であることを全うするだけ(これはまたいつかの機会のテーマで)。
水のように形を変えて柔軟に、とどまることなく、分断されてもまたつながることができる大きな流れ。
サマーディ
実は水そのものが私自身(アートマン)であるというのが、悟り(ヨガではサマーディ)だと私は思っている。
蛇足になってしまうが、硬いものは折れやすく、柔らかいものは折れにくい。
柔らかい心と身体が私たちには必要で、そして、身体と心はお互いに影響を与え合う。
どちらも同時に整えることがエネルギーを滞りなく流すために必要なこと。
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