奇声を発し、嬉し恥ずかし

 花金ですので、みたいな雰囲気を醸し出しそそくさと帰ったのは、「寝たい」からだった。ファーストデーだし映画を見に行こうかと思ったけれど人間の三大欲求のうちの「睡眠欲」の波が脳内に押し寄せて、シュークリームを食べなら、海外ドラマを見て、10時位に寝た。まるで小学生の1日のようだった。

 8時間くらい寝ないと体力が保てない私は、3時間睡眠のナポレオンの遺伝子を確実に受け継いでいない。6時間睡眠で脳は必要最低限のことしかしなくなって、感情が一切顔に表れなくなる。高校生の時、修学旅行でハイテンションになった私は、友達とのおしゃべりで2時間くらいしか睡眠をとらなかったことがあった、翌日、行く先々で撮った写真は全部真顔でピースだった。自分では楽しかったし笑顔を作っていたのだが、廊下に貼り出された写真(番号を書いて現像してもらうため)を見た級友が「え?なんで?」と爆笑するくらいだった。表情筋が私の顔から解散していた。

 そして8時間きっちり寝た私はとても爽快な気分で、昨日見損ねた映画を見ようと準備を進めていたところに通知が入って驚いた。

 ベストレビュアーには選ばれなかったけれど、言及していただいたみたいだ。動揺しすぎて、水を入れたティファールをコンロの上に置こうとしていた。自分が怖い。ヒヤリハットどころの騒ぎではない。巨大な虫になっていなかったのがせめてもの救いだ。プロの方に読んでいただいて、コメントをいただけるとは思っても見なかったので嬉し恥ずかしの気分である。もう大人だし、アパートの壁が薄いので奇声、歓声は心の中で発した。他の方のレビューもとても面白い。読みたくなる本ばかりだった。



最後に、WEB別冊文藝春秋の皆様、ありがとうございました。
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