圧倒美

アルコールを一滴も摂取していないのに宿酔いの状態で、近くの喫茶店に駆け込んでカフェインを体内に取り込む。
店内のラジオから流れる歌謡曲が味噌汁みたいなリズムで耳に優しい。

数日前、2年越しのスクエアプッシャーを見たのだが、本当に2年という間は一瞬で、悲観的に見ると世界が破滅に向かっていて、楽観的に見ると自分がいかに人付き合いが苦手だったか、根暗と言ってしまえばそれまでだが、誰であれ人類と接触するとエネルギーを使ってしまう内向型であると言うことに対して気づきを得たことによって、より音楽や映画や本を楽しめるようになった。

という風にだらだらと自分語りをした上でのスクエアプッシャーのライブは目にも耳にもアグレッシブなパフォーマンスで、体を動かさずにはいられない、大変楽しいものであった。

なんとなくブレードランナーを思い出し、電子、電力、無機質なものの連なりに熱量というか暖かさを感じるのが不思議で面白い。または、スターウォーズでR2-D2がピポピポ言っているのをC-3POがはいはいと言って理解しているような感覚。あるいは、ギャスパーノエのクライマックスの極彩色とダンスシーン。

過日、サンダーキャットもみたのだがベースという楽器からこんなにも違う音楽が出るのかと新たな世界が広がった。どちらも超絶テクニックなのは同じで素晴らしかった。

翌日みた映画が自分の好みではなく、どうしてはまらなかったのか悶々としていたが、私は唯一無二なものが好きなのかもしれないと気づいた。例えば、彼らの音楽のルーツの大きな部分にジャズがあるが、それをオリジナリティあふれる楽曲として出力しているから好きだ。その映画は、過去の偉大な作品をいわゆる“デザイン”として落とし込んでいる気がしてしまった。

オリジナリティとポピュラーの狭間でそんなことを考える、1週間だった。

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