散文③

・美術の教科書に現代美術の代表として載っていたゲルニカ、ピカソの絵はどこが良いとされているのかわからず、生きてきた。美術展でたびたび見るピカソの若年期の絵画を見て、めちゃくちゃ上手だ!と驚いたのを覚えている。

・過日、ピカソの展覧会に行き、講演会に参加して鑑賞すると「ピカソ天才だわ…」とため息をつくばかりだった。同時期に作風の異なる作品を制作するなんてまるでスピルバーグだな、と思った。両者ともそんなに詳しくないが、凡人でもすごい、というのがわかる。

・決して無から有が生まれるわけではなく、体系や基礎を学んだ上で新たなものを生み出す、という胆力や生み出し続ける体力に感服する。印象派からセザンヌ、絵画技法、キュビスムの流れがわかる素晴らしい展覧会だった。

・音楽家のチリーゴンザレスの「黙ってピアノを弾いてくれ」というドキュメンタリー映画を思い出す。彼もまた才能に恵まれているのだが、キャリアを築き上げてから「きちんと学びたい」とピアノの教則本を前にひたすら研鑽を積んでいた。

・書く、ということは誰でもできるし、それこそ「ライターです、仕事ください」といえば誰でも書ける時代に、自分だけしか紡げない言葉、文章はあるのだろうか、あるいは書く基礎を習うべきなのか、そんな甘ったるいことを考えながら、戦時下の折でも創作をやめなかったピカソのことについて思いを巡らす。そういえばジャコメッティの作品も少しだけきていた。

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