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忙しい、あなたへ。

 最近、どうにもこうにも忙しい。なぜこんなにも忙しいのだろう。溜まった海外ドラマを見なければならないし、友人から借りた漫画を読まなければならないし、積読はあるし、家事はしなければならないし、簿記や英語の勉強をしなければならないし、筋トレもしないと。今春公開されるアニメ映画の復習しなければならないし、友人のナントカフラペチーノにいいねしないといけないし、さまぁ〜ずのYouTubeも見なければならない。 

 周りはとっくに子育てで忙しいけれど、こっちはこっちで忙しい。

 ゆっくりと読書する時間はめっきり減った。学生時代は図書館から10冊ほど借りてきて、1日3冊くらい読破してしまうくらい読書好きだったのに、今は1冊がやっとだ。やらなければならないことが片隅にちらついて、集中力が途切れてしまう。スマホをちらりとのぞいてしまう。
 
 張り切って買ったラダーシリーズの〝ナイルに死す〟は、終ぞ犯人がわからぬまま、コロナ禍で公開延期になったにも関わらず、スクリーンで犯人を知ることになってしまった。
 メアリーシェリーの「最後のひとり」は美麗な文体であるあまり、宝塚で上映されないされないかな、と思いつつ、半分くらいきたところで挫折しているし、数年前に買った「そして誰もいなくなった」はまっさらな気持ちで再読して、同じ箇所で驚嘆している。

 そんな多忙を極める、言い方を変えると集中力の低下が著しい私にぴったりな書籍を見つけてしまった。近所の寂れた本屋で鎮座まします、その本のタイトルに惹かれ、ジャケ買いしてしまいその足で向かいのコーヒー屋で、コーヒー片手に読破してしまったのだ。

 2分間ミステリである。超時短である。小学生探偵でも30分ないしは2時間弱かかるミステリ、上下凶器になりそうなくらいの分厚さで語られる古書店のミステリ等々の横を、世界新記録で駆け抜けていく、2分間ミステリ。

 最速すぎて、一問一答の参考書、はたまた頭の体操的な印象を受けるが、しっかりとした理由、論理的、社会的背景等を加味して犯人を推理しなければならない本格ミステリだ。〝本格〟の基準をどこに設定するかは個々に委ねるが。
 主人公は名探偵のハレジアン博士で、我々は彼の華麗な推理の理由を考えなければならない。決してあてずっぽうで、コイツの顔色が怪しいからとか、不審な動きをしているからといって決めつけてはいけない。2、3ページしかない物語なのに、起承転結、ミステリの要素、個性豊かなキャラクターたちが揃っており、あっという間に引き込まれる。忙しいママもパパもサクッと読める。中には小学生のお子さんも楽しめるものもある。

 何だか通販番組のセリフみたいになってしまったが、忙しいあなたや活字アレルギーの人にぜひ読んでほしい、楽しいミステリ小説だ。もちろん、長編ミステリーのお供にも、ぜひ。


 さて問題です。私はこの2分間ミステリを、何分で読んだでしょうか。

  


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