見出し画像

第18話 ラブホでゲームアプリをやる変態達

第18話 ラブホでゲームアプリをやる変態

 タツミ(仮名)と出会ったのは4年前だろうか?最初はダイの大冒険が好きというところから話が盛り上がり、辿るとゲームの話が面白いくらいあった。
 わたしはファイアーエムブレム(初代・暗黒竜と光の剣)を溺愛している。なにせ、ファミコンの頃からこれだけはプレイしており、リメイクされた難易度にひとりで苛立ちを感じるくらい大好きだ!声を大にして言いたい!
 その後の紋章の謎も大好きで、イケメン画像に昇格したマリクにウハウハしたもんだ。

 ここまでセフレマガジンにお付き合いしてくれた方はなんとなく察していると思いますが、別に私は最初っから肉体を求める変態として暗躍しているわけではない。
 単純に、男友達→そっからプラスアルファがあればいいな〜みたいな流れなのに、会う奴会う奴どうしてもすぐそっち!になるので何度もプロフをいじった。
 今はすでに放置している垢だが、先日偶然覗いたら住所とやばそうな写真を添付してきたので「未読」スルーしている(ここ重要!)

 さて、だいぶ話が逸れたものの、タツミは最初っからアダルト系ではなかった。彼の仕事はくっそ忙しいし、愛する可愛い息子ちゃんがいる。そして奥様とそういうのはなくなったとは言え、欲求不満で悩んでいる感じはない。
 なので安心してホテルへ行った←?

 勘違いしてはいけない。彼らには「家庭」がある。なので、変に長時間人目に晒されるのは逆に危ないのだ。
 ラブホの入り口に監視カメラあるし抜かれるんじゃね?と思うかもしれないが、それでもカラオケで不特定多数に証言されるよりも個室でじっくりと好きなように喋って、お風呂も入れて、非現実的時間を過ごせるラブホは最高。
 エロなしならビジネスホテルでもいいじゃん?と思うかもしれないが、休憩ってシステムないよね。ビジネスホテルで、例えば3時間だけ利用!とか、半日だけ!とか出来たら最高なのに。でもコスパを考えるとやっぱりラブホの方が安い。(真面目な話ww)
 あと、ビジネスホテルは当たり前だが情報が抜かれる。というか正確に記入しないといけないので、もしもニャンニャンしたのがバレたらあちらに申し訳ない。そう考えるとやはりラブホは金さえ払えば不特定多数受け入れるので安心。

 タツミと並んでベットに座り、ダイの大冒険について愛を語る。丁度その時ダイの大冒険アプリが出て数日目(あまりにもクソアプリだったので半年で2人揃ってやめて、しかもアプリも死んだ笑)で、なんとなく一緒にダウンロードした。

「やべ、電波ないやここ笑」
「そりゃー新宿だもん。ラブホ街だから仕方ないね」
「くそー、オレは今やりたい!何とかインストールだけできないかなあ……」
「こういうとこのフリーWi-Fiって、情報抜かれそうで怖いよね?」
「言えてる、だから使わん」
「同じく」

 私は既に前日にダウンロードしていたので一応画面を見せたが、まあ出たてだから少しくらいの問題はね、と最初は許容していた。悔しいのが、やっぱりキャラゲー課金ゲーじゃん!というところで、最終的にスクエニも地に落ちたな…とがっかりした。こんなつまらないアプリ開発するのに時間使うなよ、と新作のドラクエいつかな〜なんて期待に胸を膨らませるトークをしていた。
 さて、間違えてはいけない。ここはラブホだ。ふわっふわのベッドがあって、丁度この頃コロナ第二波?だったからカラオケも置いてあるけどやらせてくれない涙。

「困ったな、カラオケできないじゃん」
「タツミの美声聞かせてくれんの?」
「アカペラはいやじゃ。またの機会だね」

 彼は元・バンドマン。長年ギターをやってた人で、その相棒となるボーカルの女性がすっげええええええいい声だった!!ポスター画像も見せてもらったけど、マジで格好いい。ああいう格好いい女に憧れる!
 格好いい声、姿、立ち振る舞い。全てが憧れ。だから私は今もずっとナノさんが大好きなんだ!!

「あっ!カラオケできないけど、違う歌ならできるよ」
「おお、何、何?」
「うん、とりあえず、一緒にお風呂入ろっか♡」

 軽っっっ!!!
 しかも、それに乗っかる私も軽っ!!!

 タツミとはいい男友達としての関係で、どちらかと言うとホテルで雑談して、残り1時間くらいになってから慌ててお風呂入ったりイチャイチャしたり、その後は息子迎えに行くまで時間がある時は遅い昼飯を食べた。
 そんで彼は地元のとあるラーメンをおすすめしたい!と私にいつも土産で持ってきてくれて、それがうちでめちゃ喜ばれたので、彼のことを今も『ママ』と呼んでいる。
 LINEの内容も、子育てに悩む相談(タツミの家は奥様がワーカーホリック)だったり、最近の日本情勢だったり、介護について、ニュースとかそんな話が多い。
 出会い系サイトにいる人間としては摩訶不思議なタイプだが、今もタツミとは定期的に政治が動く時に連絡を取り合っている。同じ都民なだけに、選挙には非常にうるさい。
 たまに変な推しをしてきたり、以前は可愛い息子の写真を送りつけてきたりと、本当に行動はママだった。

 あと、私の家にはギターがある。
 これは、タツミが私へクリスマスプレゼントとしてぽーんとくれたものだ。もう一本は彼が練習用にメルカリで買おうとしたら、届いたそれが偽物だと気づいて文句言ったらそのままタダでもらったからあげる(笑)というもので、どちらもタダで貰った。

 タツミともうラブホに行くことはないが、彼がギターをくれた時に何曲かマッキーを弾き語りしてくれたのは自分の中で最高の思い出だ。
 そして、今も定期的にギターを弾くキッカケをくれた大切な友人であり、もう会う事がなくてもこうやって、ニュースについて語り合うママ友のような交流は続けたいな、と思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?