創作小説 ~終わり見えない~

生と死を感じる残酷な場所
ここへ、産婦人科への階段を登るたびいつも思う。
産婦人科って、妊娠して来ている人もいれば私みたく子宮筋腫で来てる人もいる。他にも不妊症とか上げれば切りがない。これからワクワクする人もいれば絶望的になる人もいるんだと思う。隣に座った妊婦さんを見ながらぼんやりそんなこと思う。最低だなぁ私、だけど子宮筋腫って…とかいろいろ考えちゃう。

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初めは会社の定期検診で子宮に腫瘍が見つかったから、大学病院で精密検査をしてもらうようにと言われたのがきっかけだった。
30代も後半に差し掛かり、プライベートでは結婚を考えていた男と同棲していたがうまく行かず、仕事では部署再編の話が持ち上がり行きたくもない異動の噂がチラホラ出始めた時に突然告げられた体の異変だった。
生理は順調に来ていたのに、異変になんて気が付かなかった。
「生理痛酷い?」と目の前の医者に聞かれて頑張って思い出す、そういえば、頭痛かったりお腹痛かったりやたら眠気を感じていたな。でもそれってフツウじゃないの?自覚症状がないことがさらに恐怖を感じさせる。

そういえばフツウってなんだっけ?
自分が普通に思ってたことが普通じゃなかったとき、フツウについて考えてしまう。まぁいつも答えなんて出ないんだけど。
そうやってなぁなぁに生きてきたツケなのかな。病気が見つかるなんて。

正直なところ、子宮筋腫が見つかって落ち込む気持ちと仕事休めるんじゃないかって期待があった。希望してた部署に行けるんじゃないかって。まぁ、その期待も後に打ち砕かれるんだけどね。

つづく

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