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#16 御用産業医

レア度  ★★
信頼度  ★
責任感  ★
技:問診する

解説
産業医とは50人以上の従業員のいる事業所に医師を選任することを求められており、常時500人以上となると専属の産業医を選任する必要がある。産業医の仕事は厚労省の資料より以下のように定められている。

(1)健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等労働者の健康管理に関すること。
(2)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
(3)労働衛生教育に関すること。
(4)労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

産業医について - 厚生労働省

それでは御用産業医とは何か?
昨今メンタル不調を起こす社員が多くなっており、身体的な傷病よりも心の対応を産業医に求められることが多いことだろう。心の痛み具合というものの判断は極めて難しいため、事業所の産業医がすべてのことを完璧に対応してくれるとは誰も思っていない。しかし、少なくとも心の支えにはなってほしいと思っているはずである。そんな社員の心を、しかも心を大きく傷ついてしまっている社員の心をさらにえぐるような産業医、それが御用産業医である。
会社としてはメンタル不調者が多くなると社会の心象が悪くなる。会社本体としてはその事業所の管理者を叱責もしくは更迭すればよいのだが、その事業所の管理責任者にとっては自分の責任が問われるため隠そうとするのである。そんな事業所の安全管理責任者は御用産業医と組んでギリギリのラインで隠蔽するのである。このギリギリのラインというのが陰湿な知恵を必要とするラインで、「忘れてた」「失念してた」「遅れてた」が通用するラインを見極めているのだろう。これについては想像の域を出ないが、そのラインはメンタル不調で休職もしくは自死をするかどうかがラインのようである。明確に形として現れなければ対処しないようである。
要するに会社にとって不利益になることはギリギリのラインで隠蔽するのが御用産業医の生態である。

事実として、会社の産業医は信用できないため社外の心の専門医を受診し、そのことが会社に伝わったために会社から診断書を求められ会社の産業医に提出したにもかかわらず、定期で行われる会社のメンタル診断でメンタル不調と診断され産業医との面談になった際に「専門医に診てもらいますか?」とサラッと言われてしまう状況が御用産業医の実態である。
このメンタル不調の社員はきっと心の中で「もう受診してますから〜、あんた信用ならんからこっちで信頼できるトコ調べて行ってますから〜、せめてあんたらが出せって言うからこっちの実費で出してもらった診断書くらいちゃんと見といて〜」って思ったことだろう。

なので御用産業医は「問診する」のだが、それ以上のことは何もしない。
いや何かしているかもしれないがこちらとしては何のリアクションもなく期待もできないし信頼もできないのである。

白いブラック企業ではそんな御用産業医ネットワークが広がり、まともな産業医は居場所を段々となくされているいるようである。


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