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話のネタが尽きない乗り物、バジャジ

任地に走る3輪タクシーをバジャジと呼ぶ。
本当はサイズによってフォルスとバジャジにわかれるらしいけど、私は全部バジャジで統一している。
どこぞではトゥクトゥクと呼ばれる。タイだっけ。

バジャジは乗り合いタクシーのようなもので、
①決まった区間を往復しているのをつかまえて乗る
②目的地まで貸しきって乗る(通称コントラ)
と2通りの使い方がある。

私は大体①で使っている。乗っている時間は数分~長くても15分。なのに面白いことが色々起きる。そんなバジャジでの話の詰め合わせ。


乗るのが怖い

いきなりそれかって話なんだけど、実際怖い。だって大体運転が荒い。
急停止は当たり前。
よそ見も当たり前。
前向いて!と言ったこと多数。

以前バジャジは後部座席ではなく助手席に乗りたいって話をしたのだけど、今私が助手席に乗りたい一番の理由はゆったり座れるからではなく、運転手が私に気をとられて向く先が後ろではなく横でまだマシだからです。
比較論。

この前マリカー並みに蛇行してるバジャジあったけど、なんだったんだろうな。
乗って30秒で降りたくなることがある。
前はそうでもなかったのに…と思うのは、慣れてきてそういうことに気が向くようになった裏返しだろうか。

突然のプライバシー暴露

私が乗る路線は大体決まっている。そうでなくてもアジア人の顔などすぐ覚えられてしまうもの。乗ったら運ちゃんに「やぁジャパン!あそこだろ、○○(私が降りるとこ)だろ!」と言われて驚いたことがある。私は運ちゃんのことを一切覚えてないのに。そこで降りればどうせ同乗者には知られるんだけど、勝手に言うな~と思ったりする。

この一件で、バジャジで名前とか聞かれても答えるのをやめた。他の隊員に「道行く人にジャパンって呼ばれるのがいや。私には名前があるのに!」という人がいたけど、知り合いじゃないなら私はジャパンの方がいいな。

色々勧められる

お裾分けの精神を持った人が多いので、自分の食べてるものとかよくくれようとする。

一番多いのがチャット。覚醒作用のある葉っぱ=あかんやつ。エチオピアでは合法だけど、隊員は使っちゃいけません。
このチャット、超お手軽で枝についてる葉っぱをひたすら噛んで食べるだけでいい。それだけでいいんだけど、効果が出るまで5・6時間かかるらしい。皆気ぃ長いな。
効果が出てくると気が大きくなるらしく、運転もより荒くなる気がするので、これ噛みながら運転してるバジャジには乗りたくない。大体乗るまで分からないんだけど。

次に勧められるのはエチオピア人男性
そう、「旦那にどうだ?」ってやつだ。
あ、これはお裾分けじゃないや。
知り合いじゃなさそうだったのに、車内一丸となって勧めてくることもある。
一度「皆が好きなのは私じゃなくて、私のお金と国籍でしょ?」と返したことがあるのだけど、「HAHAHA, その通りだ!」「偉いわね」って言われました。肯定するんかい。

ピーナッツ勧めてくれた運ちゃんもいた。食べながら運転すなと思ったけど、チャットに比べればかわいいものだ。
あと乗客にバナナ勧められたこともある。私以外の人にもお裾分けしてて、皆でもぐもぐしているあの風景はよかった。

いい話も多い

相乗りバジャジの運賃は大体2~5ブル(8~20円)。常に1ブル硬貨と5ブル紙幣はストックしておくのが良い。

運ちゃんに小銭の手持ちがないことも少なくない。そんなとき「じゃいいよ」って5ブル札のお釣りをもらわずに行く人も結構いる。
聞いた話だけど、小銭の持ち合わせがない同乗者(ただし面識はない)の分を一緒に払う人もいる。

途中まで(2ブル分くらいの距離)乗って「行き先間違えた!」っていう人からお金とらずに降ろして乗り換えさせてあげてた運ちゃんもいた。

あつい信仰心の影響なのか、そういう助け合いを自然にしている人をよく見かける。

「いいよ、自分が払うから」

そう言って私の分の運賃を払ってくださる人が、結構いる。

正直私の方が彼らより生活費を支給されているだろうから、心苦しい。でもあまりに断るのも相手の気持ちを無下にしていそうで、「ありがとう」と厚意を受けとることにしている。

パターンは色々。運ちゃんがいいよいいよ、って言ってくれることもあるし、相乗りした人が払ってくれることもある。アムハラ語で話が盛り上がって…ということが多いんだけど、先日「ボランティアで私たちのために働いてくれてありがとう」と払っていただいた時には背筋の伸びる思いだった。

そして今日は乗って一切会話も何もしていないのに、先に降りた若そうなお兄さんが払ってくれてた。運ちゃんに聞かされて素で「なんで?」と言ってしまい、運ちゃんに笑われた。降りた場所は同じだったので急いで降りて「ありがとう」は言えました。理由は分からずじまい。

私これ日本でできるかな…と思うのだけど、どこかで恩送りをしたいと思っている。


暑い時期には風を切って走るのがとても心地よいバジャジ。
またお話がたまったら、続編を書きたい。


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