第10回.朝ドラの時は大変でしたね〜と言いたい
よく、朝ドラを経験した女優さんなどから聞くこの言葉。
これを生涯言える人はごく限られた人間だけである。
誰もが知ってる超国民的ドラマ。
恐らく出演するだけでも私には知りえないほど凄いことなんだろうから、主役として出る人はもう本当にえらいこっちゃなことなんだと思う。
これからドラマが始まる時のインタビューももちろん聞いていて素晴らしいなと感じるが、私は終わってから何年後か経った後の、やり遂げた者にしか成れない言葉や行動が好きだ。
「今までで大変だったことはありますか?」
「朝ドラの時は大変でしたね〜」
「今までで印象に残ってる仕事はなんですか?」
「朝ドラですかね〜」
一生ずっと言える。
しかし、いつも思うことがある。
溢れ出す達成感を全面に出しながら言えばいいものの、その人たちは一歩引いて自分のことを見て、周りの人に最大の感謝を伝えながら冷静に話す。
自分がここまでやってこれたのはあくまで周りの人たちのおかげだと。
私だったら、鼻息荒く自慢するかのように話すだろう。
きっとインタビュアーの人が困り顔をして後退りしてしまうほどに。
来世の来世の来世で、朝ドラの主役をしたら、冷静に、淡々と話せるようになりたい。
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