20230515 友達の嘘

職業柄、年甲斐もなく、特に関心がなくとも10代に流行の音楽が耳に入って気に入ったりすることがあるのだが、そのようにして何年か前に聞いたMrs. GREEN APPLEの「青と夏」という楽曲が結構好きで、曲もまあ聴いていて心地よいものだが、歌詞の、

友達の嘘も転がされる愛も何から信じていいんでしょうね

という一節が好きだ。より正確に言えば、「転がされる愛」には全然興味はなくて、「友達の嘘」と歌うところが好きなのだ。

「何から信じていい」のかわからなくなるような「嘘」なのだから、おそらくは利己的な、あるいは自分ではない誰かのための嘘を「友達」が口にして、そしてそれが「嘘」だったと、どこかで気がついたのだろう。このシチュエーション自体いかにも青春の苦々しさといった感じがして好ましいのだが、何より、友達でも嘘をつく。嘘をついても友達。このように、他者(ひいては自己)の矛盾を矛盾として、人間関係のダブルバインドをダブルバインドのままに、受け止めることができるようになるのが成長だと、そう思うのである。

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