20230628 雨の悦び

雨が降る前に帰りましょう、と一日を締めくくった矢先、激しい雨が降り、雷が鳴り、やがて雹まで降ってきた。子供たちはぎゃあぎゃあきゃあきゃあ騒いで、掃除も何も手につかない様子で、教室の明かりを消して停電と思わせるイタズラまで始める始末であった。こちらはうんざりするばかりなのだが、しかし子供の時分、中学や高校で、友人らと激しい雷雨に閉じ込められて、私は騒ぐようなタイプではなかったけれども、静かに気持ちを昂らせた記憶は確かにあり、気怠い懐かしさを感じるのであった。

さらに昔のことを思い出せば、小学生の頃は、間違いなく激しい雨が好きだった。好きだったし、同じく激しい雨を好む友人たちがいた。激しい雨の中、悪友と小学校の校庭の土で川やダムを作ったりした記憶。激しい雨の中、帰り着いた家の周りで、同級生たちと傘を投げ捨ててはしゃいだ記憶。雨の悦楽――きっと、それなりに普遍性のあるものなのだろうが、しかし、そういう気持ちというのは、まあ、疲労や老いなどとともにすり減り、失われてしまうのである。

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