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津田大介が「学術会議、任命拒否 500学会の抗議、読んで思う」といった記事を書いていて、話題になっていたイタリア学会の抗議文や上代文学会の抗議文を読んでみたが、学術の言葉の力強さに感銘を受けると同時に、どうしようもないだろうという気持ちもまた押し寄せてくる。結局、こうした言葉も、「任命拒否」を問題だと感じる人間にだけ届き、「何が正しく、何が間違っているかを決め」る者が誰かなどといった問題に関心のない人間には少しも届かない。東浩紀が「毒にも薬にもなるネットのこれからは“数の競争”の外に出ることが重要だ」に書いていたが、数の競争の内部で、数ではないものがどれほどの力を持ち得るというのだろうか。あるいは、そこでは数こそが正しさなのだ。

などと嘆き節を垂れ流しても仕方がなく、「数ではない正しさ」があり得ることを知る者の数を増やす営み=教育に真剣に向き合わなければならないなあと思う昨今である。

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