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時の何かを知らない

一昨年から昨年にかけて書いた小説。原稿用紙142枚。縦書きPDF。

一 集合

 捜索は三月のある土曜の昼過ぎに始められた。
 その日はよく晴れていた。南風がやや強く、日向にいると暖かく、薄手のコートでも着ているとじんわりと暑さを覚える程であったが、日陰に入るとやはり時節並に肌寒く感じられた。
 その日、昼過ぎ、四人は校門を待ち合わせ場所としていた。
 まず現れたのは修二であった。学校は丘の上に

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