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朝霧
2021年3月13日 23:35
私はどこかに出かけていた。川沿いの道かもしれないし、納骨堂かもしれないし、ちょっと歩いて砂浜まで行ったのかもしれない。ともかくどこかに出かけ、そして父方の実家に帰ってきたところだった。靴を脱いで玄関を上がり、居間の戸を開けると祖父母や親戚が机を囲って黙って座っている。私を見上げ、叔父が「千夏の心臓が止まった」と呟く。いつもはひょうきんな叔父で、だから彼の真顔は他の人の真顔よりも真実味があると私は