私が私を売るまで。

私は自己肯定感など、自分自身に対してポジティブなものがほとんどありませんでした。今もそんなにありません。

自分の事が嫌いで、価値のない存在であると常日頃思っていました。

特に学生時代はやんわりといじめられており、家に帰れば過干渉と無関心両極端のいわゆる毒親属性の母親がいる環境で過ごし、相当に精神力を削られ脳内麻痺状態でした。

その頃に培う筈の対人関係スキルや自己認識力が欠如しており、社会に出てからはとても苦労しました。

若年で就職したのもあり、とにかく全ての事が未熟でした。

社会人としての意識や常識はもちろん、人と関わるという事が本当にわからなくて

何を話せばいいか?

何処に意識を向ければいいか?

何を基準に関わる人を決めればいいか?

何もわからず途方に暮れていました。

その時に「他人を利用しようとする人」に何人か出会いました。

物を売りつける人や自分の不満を転嫁する人。

未成年の一人暮らしであった事で何度か操の危険を味わい、どんな容姿でも年齢でも女「性」である以上、性的に消費される危険性があるという事を学びました。

ただ、自分に対して極度に過小評価を下していたので、自分が女として性的な目で見られる。という事実に驚愕した覚えがあります。嫌悪感や感傷よりも、只々驚くだけでした。

時が過ぎて成人後、少しマシになったとはいえ相変わらず自分を好きになれず、向き合う事をしませんでした。

しかし、そのままでは承認欲求が満たされず苦しいので、お付き合いしている人がいない時は複数人の男性と体だけの関係を持っていました。

男性に性の消費として使われる事で「女性として必要とされている」という勘違い。人として、女としての二面で自分自身に価値を見出して貰っていると感じていました。

その頃働いていた職場はいわゆるブラック企業で、時計が一周半しないと家に帰れなかったし、純粋な休みなんて数ヶ月に一度あるかないかでした。

とにかく自分を自分以外で消費している生活でした。自分の事に時間や手間が使えません。自宅を整える事も、体の事を考えた栄養摂取も、身だしなみも心のメンテナンスも何もかも出来ませんでした。

未だに自分の為に、インスタントコーヒーを入れる事も若干躊躇しています。

自分以外のものの為に活動し、外部からの反応によってようやく呼吸している状態でした。

そんな生活の中である時ふっと、しんどい事に気付きました。

恐らく、その当時直面した母親の死が、私の心に変化を及ぼしたのでしょう。母との極端な共依存関係は私の拠り所の一つでした。無限に憎み続けながら決して離れない存在は、何故だか生きている実感をもたらしてくれていました。

歪に保っていた私の心情が崩れ去り、否が応でも自分と向き合わなければいけなくなりました。見えてくるのは自身をぞんざいに扱い続けたツケ。

背け続けた現実を目の当たりにして、他人に消費されるという事に酷く虚しくなったのです。自分の為に生きたいか?と問われれば、まだまだハテナが浮かぶ状態でしたが、とにかく早くしんどい今を変えたくなりました。

当然全く何をしたらいいかわからずまた途方に暮れました。

生き方や考え方を変えるのはとても困難で、その行動で消耗するものは莫大な物である事を、痛いほど実感しました。

我武者羅にもがく内に自分の夢を思い出しました。自分自身を大切にするという事は酷く難解ですが、自分の思想を大切にする事は出来るなという結論に達しました。それが結果的に私なりの自分自身を大切にするという事なのかなと。

そこからは夢に向かって生活環境を変え、自己犠牲や自分を顧みない行動は多々ありましたが、なんとかかんとかやっていました。

ところが、安定を求めて走った恋愛に身銭を切ってしまい、細々と溜めていた資金がなくなりました。元々主体性のない彼は結婚前に起こった嫁姑問題で混乱し、まさかのヒモ男化。

この時に人は堕ちるし変わる。他人は変えられないけど、他人によって自分が変わらざる負えない事もある。という事を学びました。そしてそれを回避できるのは自分しかいない事も。

夢に対しての目標を立て、期間も定めていたので大分焦りました。資金以外のことは目標通りだったのでなんとかせねばと。

そこで浮かんだのが風俗でした。

貞操観念が低いのと、短期間で高収入が得られるという二点で始めようと決意しました。

勿論自身を売るという事に不安しかありませんでしたが、この頃は失恋や散財や目標やらで焦燥感からヤケになっており、勢いだけで飛び込んだ節があります。

業界に飛び込む前に必ず期間限定にしてそれを必ず遂行する事を強く決意しました。

後々間違いではなかったと確信しましたし、この決意がなければ今も私は風俗嬢として生きていたかもしれません。



皆様のサポートが私の力になっております。 これからも私の昔話でお楽しみ頂ければ幸いです。