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街灯座

 最近、夜中に最寄駅から歩いて帰ることが多い。
そしたらある日、自分が歩きながら街灯ばかりを眺めていることに気がついた。

 それは道に沿って、だいたい等間隔に並んでいて、またところによっては光の種類が変わり、並び方が変わる。そしてある配列が見えた途端に、"帰ってきた"という気持ちが起こる。
帰り道を反復するうちに無意識に記憶した光の配列が、拠点としている土地に対する記憶とも結びついているのだろう。

 そういえば星座は、はるか昔の人々が夜空を見上げて、周期的に変化していく星の光の配列にルールを見出したものだった気がする。また北極星は、変化する夜空において唯一の動かない光だった。それらの光は季節や方角といった概念をもたらし、旅人の道標になったんじゃなかったっけ。

 都市の拡大によって星空は少し遠い存在になったけど、日々大移動を繰り返す現代人にとっては街灯が夜の道標になっているんだ。だとしたら星座ならぬ、街灯座と呼べるかもしれない。
無機質に佇む街灯が、星座と同じ、いつもそこにあって自分の居場所を示してくれる光なんだと思ったら、なんだかちょっと安心した。

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