管理栄養士と給食委託会社

給食委託会社とは、病院や高齢者福祉施設、事業所など様々な施設で給食を作る会社である。

最近、Twitterで流れてくるのだが「給食管理のできない管理栄養士は栄養管理はできない」、「給食委託会社をもっと盛り上げなければいけない」というツイートが多くみられる。

これは正解である。病院や高齢者福祉施設で提供する給食は、細かく栄養管理、栄養価計算がされている食事を安く(250~450円)で提供しているのである。普通に考えればありえない。

しかし、給食委託会社に就職したいと考える大学生は少ないのが現状である。

理由は「栄養管理がしたい」、「給料が少ない」、「朝が早い」など様々なネガティブイメージがあるようである。

では、実際どうなのか。

私は、一応、管理栄養士である。博士を取得してから職がなかった1年間、給食委託会社にアルバイトとして高齢者福祉施設の給食業務を行っていた。

私がいた給食委託会社のシフトは、

A勤(5:30~15:30)

B勤(8:30~17:30)

C勤(10:00~19:00)が基本である。

しかし、給食委託会社だけでなく、直営の病院や高齢者福祉施設もそうであるが、調理従業員はどこも人手不足である。

給食委託会社を支えてくれているのは、地域のパートのお姉さま達である。もちろん、パートさんがいなければ給食委託会社の社員が厨房作業と事務作業をこなさなければいけない。

私がアルバイトで驚いたのは、給食委託会社の社員のシフトである。

AC勤が週に5日が当たり前であった。(朝5:30~夜19:00勤務が週に5日)

これは、ありえない労働環境。実際にアルバイトである私も土日はBC勤が当たり前であった。(朝8:30~夜19:00勤務)

では、給料はどうなのか?

正社員の栄養士さんが自分の給料と勤務時間から時給計算を行った。

結果は、時給は500円台。労働量と報酬が全く見合っていない。

この勤務体系では、新卒の管理栄養士が入所したとしてもすぐに離職してしまう。

この環境が当たり前の世界で、若い管理栄養士を入職させたいかと聞かれたら答えはNOである。

もちろん、管理栄養士の立場として、給食管理が重要なことは重々承知であるが、自分が育てた大事な学生がぼろ雑巾のように扱われるのは、教員の立場としては嫌である。

では、「給食管理のできない管理栄養士は栄養管理はできない」のツイートに対しての答えはどうか。

これが難しい。確かに給食(大量調理)の経験は、その後の管理栄養士の活躍には大きなアドバンテージである。給食(大量調理)は、大学の授業と実習だけでは経験不足である。

私の場合は、特殊であるが、アルバイトでありながら、主調理、切込み、盛り付け、洗浄、配膳、下膳、献立修正、発注、衛生管理と全ての業務をやらせてもらった。就職先が見つかり1年間しか働かなかったが、1年間で、給食委託会社の社員が行う業務をすべてできるようになった。

新卒の学生さんも1年間は給食委託会社に勤めるのはメリットであるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?