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GWにオンラインイベントをやろうと思った理由 - 愛する我が家とその住人に寄せて -

100人以上の他人と暮らす家に移り住んで、早くも3年が経とうとしている。
生まれて28年間実家を出たことのなかった当時の私は、なんとなく人生が停滞している感じがして、とにかくもやもやしていた。
「新しいステージにコマを進めたいな。」
そんな思いから突然家探しを始め、気づいたら今の家に転がりこんでいた。
ひとり暮らしは勇気が出ない。人の気配がほしい。どうせ1年後には同棲するから家具を買いたくない。
この家を選んだ理由はそういう消極的なものだった記憶がある。

そこからいろいろあって、3年。
一生やめない!と思っていた会社をやめ、前職時代に偶然一緒に仕事をした会社に入れてもらい。
運命の人だ!と思い込んでいた恋人と別れ、肉親が亡くなり。
その3年間をこの家で過ごした。

3割を海外からの住人で占めているからか、そういう気質の人間が集まってしまったのか、長年の蓄積によってできた文化なのか、とにかくパーティの好きな家だった。
クリスマス、ハロウィン、バレンタインといった季節に合わせたイベントはもちろん、泊まれる学校「さる小」を住人で借り切って文化祭をしたり、千葉のキャンプ場で野外映画会をやったり、
「めちゃくちゃ人数がいること」を武器に、何かにつけて理由をつくり、とにかく全力で遊ぶ。

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イベントのたびにオーガナイザーを立て、デザイナーはロゴやビジュアルを制作し、内輪向けイベントなのになぜか事前告知のためにカメラマンを入れた撮影が発生し、信じられない量のごはんとお酒が用意され、大型イベントではDJVJが本格的なクラブ空間をつくってくれたりする。
10以上の分科会が発生することもあり、ダンスだ余興だと調達した衣装は数しれず。
私の部屋にはいまだになぜかボンテージの衣装が2着もかかっている。
自分たちが心底楽しむために、全力を投じてパーティを作り上げるのがこの家だった。
踊る阿呆どころの騒ぎではない。皆踊り狂っていた。

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そんな我が家に変化が訪れたのは3月。ホワイトデーイベントが見送りになった。
もちろんコロナの影響である。
いまやコロナは世界的な問題となり、影響を受けていない人なんか一人もいないのではないか、というくらいに猛威をふるっている。
水回りを共有しながら生活する私たちは、中でもだいぶ危険な暮らし方をしている部類だと思う。
実際、家を離れて一時的に別の場所で暮らすことを選択した住人もいる。
管理会社からは「共用部は必要最低限の利用に留めるように」とのお達しが出た。
不夜城だったラウンジも、日付を超える前に消灯する、なんてことも多くなった。
自分や他人の命を守るため。
どれも仕方ないことだ。

そう、仕方ない。
仕方ないことではあるんだけど、人と会えないのはさみしいし面白くない。
部屋でアマプラやNetflixを観続けるのも飽きた。
ラウンジでくだらない話をしながら笑い転げたいし、めちゃくちゃ飲んで踊りたい。
「あー、パーティしたいな。」
のんきと言われるかもしれないが、3月後半からはそれが口癖になった。
この家に来るまでは、自分がパーティーピーポーだなんて思ったこともなかった。

見知った人が大勢集まり、会話やコンテンツによって今まで知らなかったその人の中身を垣間見ることができる。
 この人、こんな一面があったんだ。
 今まで話したことなかったけど、案外面白い人だな。
大げさに聞こえるかもしれないけど、家のパーティを通じて「人は何度でも出会い直すことができる」ということを学んだ。
だから私はパーティが、この家でつくるそれが大好きだった。

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どうにかパーティしたいな、と思い、もわもわと妄想を広げていたある日、もんもんとする私を見かねてかどうかは定かでないが、とある住人(Uくんと呼ぶ)が声をかけてくれた。
一緒にオンラインイベントを企画しようと。
ちょうど4月で、新入居者がちらほらいたタイミングだったので、オンラインで新入居者歓迎会を実施した。
いつものイベントとは違い周到に準備はできなかったものの、割と盛り上がり、参加者からも「楽しかったよ」の言葉をもらった。私自身も久しぶりに家の人達とわいわいでき、パーティ欲も少し満たされて楽しかった。
楽しかった。
楽しかったんだけど、なんか違う。
私のやりたいパーティは、もっとこう、なんていうか、いろんなことがいっぱい起こって、いろんな人が入り乱れているやつなんだ!

という悶々としたものが抑えられなくなり、UくんとともにGWイベントを企画するに至った。
今年のGWはどうせみんな家にいて暇。スマホ片手にゴロゴロしているはず。
ならば、GW中ずっと楽しいことが垂れ流されてる状態にしてしまおう。
そんな思いで企画したのがGOLDEN CONTENTS WEEKだ。
ずっと楽しいことを垂れ流そうぜ!といったものの、わたしもUくんもなにかコンテンツを持っているわけではなく、コンテンツメーカーとなる人の協力が必須。
それっぽい住人に「今、こんなことやろうと思っているんだけど…」と声をかけると、皆「いいね!やりたい!」と言ってくれ、気づいたらいつもより忙しいGWができあがっていた。

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オンラインナイトクラブ、プレゼン大会、謎解き、ラジオ、などなど。5月2日〜5日の4日間、主にZoom上で様々なコンテンツが配信される。
わがままをいってロゴとビジュアルもRちゃんにお願いした。
現状、OBOG含め参加予定者は70名ほど。
いつもの季節パーティくらいの規模になっていた。

オンラインを使った大型イベントは初の試み。
めちゃくちゃ面白くなるかもしれないし、思ってたんと違う!ってなるかもしれない。
でも、いつものパーティだってそう。
盛り上がらなかったら?つまらないって帰っちゃう人がいたら?トラブルが起きたら?
始まる前はいつだって不安でいっぱいだ。
始まる前は不安でたまらないのに、終わった後「やらなきゃよかった」と思ったことは一度もない。
もちろん楽しさの濃淡はあったけど、阿呆になって踊り狂ったことを後悔したことはまったくないのだ。
だから明日からの4日間についても、何が起こってもきっと「やってよかった」と思うんだろう。

「新しいステージにコマを進めたいな。」
3月の頭にそう思い立ち、うまくことが進めば来月にはこの家を出る。
人生の、たぶん一番濃かった時期全てをここで過ごした。
この家は、いつどんなときも私の気持ちの真ん中あたりにいてくれた。
だから、出る前にどうしても何か企画したかった。
今回の企画がなければ屋上でソーシャルディスタンス飲みをやっちまうところだった。

お絵かき帳 P1のコピー

夢を叶えてくれてありがとう。
誰かを楽しませたいからじゃなく、私が誰かと楽しい時間を過ごすために、4日間全力で踊り狂おうと思うよ。
また明日、オンラインで会いましょう。

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