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君との方程式♯2

「雁宮君、甘いもの、大丈夫?」
「好きだけど?」
「これ、作ったんだけど…」
菊咲は、恥ずかしそうに差し出した
「マジで?」
手作りのドーナツだった
手作りと思えない位の出来栄えだった
さすがに図書館では食べられないので、
外のベンチに移動して
自販機で飲み物を買いに行く
「菊咲は?何飲む?」
「お茶で」
俺はコーヒーを買って来た
一緒に食べる
「うまっ」
「本当?良かった」
菊咲が嬉しそうに微笑む
全部で5個あったので
俺は2個目を手に取り、
菊咲にも進めたら
「私、すぐ太っちゃうから」
と言っで食べなかった
成長期の俺は太る事など気にせず食べていたが、女子は難しいな
手作りお菓子と言うのを食べたのは初めてだったけど、美味しかった
その後の勉強会になったのでその日は、いつもより帰りが遅くなってしまい、辺りも薄暗くなってしまったので菊咲を家まで送る事にした
「雁宮君、今日は本当にありがとうね」
深々と頭を下げて菊咲は玄関のドアを開けた
「ただいま、、、」
「!!?」
玄関を開けると、そこには男の人が倒れていた
「お父さん!!!」
菊咲の親父さんは
救急車で搬送された

次の日は、菊咲は学校を休んだ
菊咲の親友の二上と話をする
「菊咲の親父さん、大丈夫だったのかな?」
「いつも、勉強見てくれてる雁宮だから話すね...麻美ん家、お母さんが麻美が小学生の時に亡くなったんだ」
「お父さんは、その反動もあって、食生活偏って病気も患っているって聞いた事あるから、、、」
「あの子、お父さんのためにたくさん料理の勉強したり、研究したり、甘いもの大好きだったから少しでも食べさせたいって、自分でアレンジしてオカラとか少しでも体に良い食材使ってお菓子作りしたり、努力家なんだよ、、、」
「すごいよね、私なんてお母さんに頼りっぱなし」
俺もだ
両親そろっているのは当たり前だったし
朝はあたり前のように弁当が作られてあって
家に帰れば暖かいご飯が用意されている
よく考えれば、ありがたい話だ
「麻美の夢は、管理栄養士の資格取る事なんだ。だから、大学進学目指してる、、、」
「奨学金もらって」
「すごいな、、、」
ちゃんと、将来を見てる
俺なんて、何も考えずにただ生きてた
そんな菊咲をカッコいいと思った

「おとといは、ごめんなさい」
菊咲は、深々と頭を下げた
「親父さん、大丈夫だった?」
「うん、ありがとう」
そう言って無理して笑顔を作った
菊咲はあまり多くは語らなかった
俺もあまり深掘りはしなかった
ちょっとだけ涙目だった
菊咲の頭を軽くポンと触って
「明日から、勉強会出来そうか?」
「うん」
勉強会、始まって30分位経ったかな
菊咲が、うたた寝を始めてしまった
ちょっと席を外した隙に
机に伏せて寝入ってしまっていた
前の席に座り
頬杖をつきながら
静かに寝顔を眺める
健やかな寝顔
長いまつ毛
綺麗だな、、、
口元緩んでる
ヨダレ垂れてる(笑笑)
愚痴ひとつ言わないけれど
疲れてるんだろうな
そっと触れたくなった、、、
愛おしいって感情は、これの事かな
俺はその頃から
菊咲への淡い想いを自覚して行った
でも、消して浮ついては行けない
菊咲をなんとか大学合格まで導くのが
自分の役目な気がしたんだ

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